第百十九話
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っと、ぷりぶぃえぇと?」
「あらユウキ、ありがと! ええ、正真正銘のセブンよ」
予想だにしていなかった闖入者は、確かにあの七色・アルジャービン、もといセブンだった。ALOと同じく、アイドルらしい煌びやかな格好に身を包んだ少女は、挨拶とともに帽子を取ってこちらに笑いかけた。
「学校からログインしてるのか?」
「まさか。でも、ことVR空間について、セブンちゃんに出来ないことはあんまりないの」
アイドルとしての側面が強いからか忘れていたが、そういえばセブンは世界的にも高名なVR世界の研究者だった、ということを思い出した。仕組みは分からないが、こうして目の前にいる以上、そこに疑う余地はない。
「でも、どうしたの? セブン、忙しいんじゃ……」
「ええ。だけど、次に迷い込んできた仕事のこと、どうしてもユウキの耳に入れたかったの」
「……ボクに?」
そこからセブンの雰囲気が、アイドルらしい笑みからVR世界の研究者としての、冷静で冷徹な雰囲気に変化した。その上でユウキに用事があると聞いて、ユウキは緊張からピクリと背筋を延ばしていた。
「わたしに回ってきた仕事の一つに、あるクエストのチェックがあったの」
和人によって世界中に配布されたザ・シードによって、VRゲームはともかくとして、ただ一つのクエストを作るくらいならば、少しVRをかじった程度の人間でも作れるようになっていた。とはいえ作ったところで、そのクエストをするVR世界がなくては意味がないわけだが。
「幽霊が出るクエスト。そのクエストは、そう呼ばれていたわ」
「幽霊が出る……クエスト……」
訥々と語るセブンの言葉に、ユウキは神妙な雰囲気で言葉を返した。わざわざセブンのところまで回ってくる曰く付きのクエストに、まさか幽霊系のモンスターが出る、という訳ではないだろう。
「データの内部を調査した結果は、その『幽霊』についてのことは分からなかった。でも、その中に気になる言葉があったの」
セブンが口を開く。その言葉は、俺たちもよく知っている名前であり――故に、どうしてこのタイミングで、セブンの口から聞くことになるかは分からなかった。
「――スリーピング・ナイツ」
「――――ッ!?」
それはユウキたちの代名詞とも言える、彼女たちのギルドの名前。流石にその名前を聞いたユウキも動揺を隠すことが出来ずに、目に見えてうろたえてしまっていた。
「わたしには、これが偶然だとは思えない。だからユウキ――」
セブンの手がこちらに伸びてくる。その申し出が、俺たちを新たな舞台へと駆り立てた。先のフロアボス攻略戦とは違って、短い、それこそほんの一瞬の出来事だったが、だからこそ密度の濃い時間となった。
「一緒に
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