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第三十一話
第三十一話 二人の決意
華奈子と美奈子もそれぞれ決意を固めていた。二人は自室でサックスやフルートを手に今後のことについても細かく話をしていた。
「あの人はあれでいいのね」
「ええ」
美奈子は華奈子にそう答えた。
「どちらにしろ衝突するわよ」
「こちらが無視していてもね」
「そうよ。だからいいのよ」
美奈子はそう言う。
「全然平気よ」
「その間にこっちも色々やっていくのね」
「そうよ。あの人は本物だからね」
美奈子は雅美の実力を正確に見ていた。そしてそれがかなりのものであるとわかっていたのだ。そのうえで華奈子と今話をしているのである。
「いずれにしてもね」
「その時に勝負に出るのね」
「それでどうかしら」
「そうね」
華奈子はそれを聞いて考える顔になった。
「あたしはそういうの結構経験あるけれどね」
どちらかというと喧嘩といえば華奈子の方だったのである。美奈子には喧嘩の経験はあまりない。あるといえば華奈子との姉妹喧嘩位である。学校でも大人しい女の子なのだ。
「今回はそれでいいと思うわ」
「そうなの。それじゃあ」
「ただしね」
華奈子はそのうえで述べる。
「あの人は美奈子の予想通りよ」
華奈子もそれに気付いていた。
「歌も踊りも凄いわよ」
「そうね」
「だからね」
そしてまた言う。
「慎重にね、ここは」
「喧嘩をするにも慎重なのね」
「そうよ。それでその間に」
美奈子は述べる。
「こちらも切り札を用意するわよ」
「切り札」
「ええ。いい?」
華奈子の目を見て話をはじめる。
「二人でやるわよ」
「二人で」
「そう、一人じゃ無理だから。この曲はね」
「わかったわ」
華奈子もそれに頷く。
「後皆にもね」
「そうね。頑張ってもらわないと」
美奈子は言う。
「勝てないわよ」
雅美の実力をはっきりとわかっているからこその言葉だった。クラウンもまた雅美との対決を考えていたのであった。
第三十一話 完
2006・11・21
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