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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百九十五話 共同占領
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ん」

二十万隻近い大軍がガイエスブルク要塞で我々を待っている。我々よりも戦力は大きい。その事が会議室の空気を更に緊張させた……。


打ち合わせが終わり、メルカッツ提督が会議室を出た後、残ったメンバーで少し話をした。話題になったのは、シュターデン大将のヴァルハラ星域への侵攻作戦の事だった。三方からの分進合撃と各個撃破、シュターデン大将に勝てる可能性は無かったのか? 何処で彼は間違えたのか? その間違いを的確に突いた司令長官の用兵の妙、一時だが楽しい時間だった。

ローエングラム伯の事は話に出なかった。我々にとって、いや少なくとも私にとっては来るべきものが来ただけで驚くような事ではなかった。最終的には他者に膝を屈する事が出来ない男、であればあれは当然の結果だっただろう。

敢えて話をする事でもない。おそらく皆そう思っていたのではないだろうか。故意にその話を避けるような不自然な空気は無かった。あくまで一時の楽しい時間だった。



帝国暦 488年 1月12日  ルッツ艦隊旗艦  スキールニル ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ


「フロイライン・マリーンドルフ、ようやく一息つけるようだ。貴女も少し休んでくれ」
コルネリアス・ルッツ提督が私を気遣って声をかけてきた。もっともルッツ提督自身、かなり疲れた表情をしている。

「有難うございます。提督も少しお休みください」
「有難う」

コルネリアス・ルッツ大将。今年三十二歳になると聞いた。白い金髪と青い瞳をしている。興奮すると瞳が藤色に彩られると言うけど私は未だ見た事が無い。

才気煥発というタイプではないが、堅実で安定した力量を感じさせる人物だ。性格も穏やかだけれど軟弱、優柔不断ではない。安心して傍にいる事が出来る。私に対しても偏見から壁を作るという事も無い。人の上に立つ人物とはこの人のような人物を言うのかもしれない。

ローエングラム伯が指揮官の地位を剥奪されてから十日。忙しい十日間だった。皆が故意にローエングラム伯の事を忘れるために忙しく働いたと言う事も有るかもしれない。

ワルテンベルグ星系の制圧戦が終わり、艦隊はこれからキフォイザー星系へと向かう事になる。確かに休めるのは今のうちだろう。キフォイザー星系に行けばまた忙しくなるに違いない。

戦闘らしい戦闘は無かった。こちらが進撃しただけで貴族連合軍の領地は放棄された。本来領地を守るべき人間達はガイエスブルク要塞に退去したようだ。

意気地が無いとは言えないだろう。戦力がまるで違うのだ。無駄死にする必要は何処にも無い。ルッツ提督も弱いもの虐めのような戦闘はしたくないと言っている。

占領した惑星は住民達の自治に委ねた。こちらは内政には関わらず、惑星間の治安維持に意を注ぐ事に専念。略奪を厳
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