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Three Roses
第二十話 早世の家その四

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「彼等を味方につけ指揮官もだ」
「軍を動かす」
「その者達も」
「要職を旧教の士官達で占めさせ」
 こうも言ったのだった。
「賄賂とは別にな」
「そして軍を動かす大臣は」
「それは」
「そなた達から出す様に王にお話するか」
 そう勧めるか、とだ。太子は側近達を目だけで見回しつつ述べた。
「オズワルト公だな」
「あの方ですか」
「あの方に軍を担ってもらいますか」
「デューダー卿が気になるが」 
 その目を鋭くさせてだ、太子は彼についても言及した。
「彼には一つ弱みがある」
「爵位ですね」
「それが低いですね」
「あの方は伯爵です」
「それが、ですね」
「弱みだ、大臣になるのならだ」
 そうなるのならというのだ。
「爵位がものを言うな」
「はい、どうしても」
「それが大きいですね」
「大臣になるにも」
「爵位が必要ですね」
「家柄、広大な領地」
 その二つがというのだ。
「大きい、デューダー卿も優れた者だが」
「伯爵ですね」
「それに過ぎませんね」
「ですから公爵であられるオズワルド公と争えば」
「敗れますね」
「オズワルド公はこの国で最も古い貴族の家の主でありだ」
 そしてというのだ。
「旧教の者達の領袖」
「あの方ならば」
「大臣になれますね」
「軍を担う」
「それになれますね」
「軍を握ると握らないとでは違う」 
 それも全く、というのだ。
「だからだ」
「ここは、ですね」
「旧教の士官達を味方につけ」
「オズワルド公に軍を握ってもらい」
「そして、ですね」
「彼等を後ろ盾にしますか」
「そのうえで賄賂を使っていこう」 
 あらためてというのだ。
「いいな」
「わかりました」
「それではその様にしましょう」
「そして、ですね」
「王が崩御されれば」
「その時は」
「妃を女王とする」
 それが可能な状況にまで整えたうえで、というのだ。
「いいな、賄賂を使い」
「軍を取り込む」
「そうしていきますか」
「これは政だ」
 まさにそれだというのだ。
「この国をロートリンゲン家のものとする為の」
「そうですね、まさに」
「我々はその為の布石を打っていますね」
「今丁度」
「その通りだ、まずは妃を女王にし」
 そうしてというのだ。
「私の、ロートリンゲン家の子を産んでもらい」
「そのお子がこの国の王となられる」
「そうなられますね」
「そしてですね」
「この国もまた」
「ロートリンゲン家に」
「そうなる」
 まさにというのだ。
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