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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十九話 オブザーバー
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女性が呟くのと、入場の開始は、殆ど同時だった。

「[レッドコーナー!初出場にして、エリートクラスまで上り詰めた!未だ手の内が読めないルーキーファイター!!クレヴァー・レイリ―選手!!]
歓声が上がると共に、クレヴァーが入場する。バリアジャケットは、黒を基調とするカソックに近い形状のものだ。長衣の上着の下に、袖の長い上下の服を着こみ、肌の露出は少ない。大きな本を持っているため、教会の神父のようにもみえる。

「[そしてブルーコーナー!彼の帰還を待ち望んだ方も多いでしょう、IM男子の部における伝説的記録の保持者、最高戦績、10歳にしての世界代表戦準優勝!!《白翼》。クラナ・ディリフス・タカマチ選手!!!]
次の瞬間、レイリ―の倍近い大きさの爆発的な歓声が会場を包み、バリアジャケットをセットしたクラナが現れる。それ自体が、彼に掛かった期待の大きさを示している。それを背に受けながら、クラナはリングへと進み出た。

「会場はお前有利だ。けど……それはそれだからな」
「はい。問題ありません」
反対側では、アドルフがクレヴァーの背中に声を掛けていた。

「頑張って」
「は、はいっ……」
ガチガチに緊張した面持ちのまま、レイリ―もまたリングへと踏み出す。主審が間に入る中、二人は顔を突き合わせた。

「……(あんまり、話したことないんだよな……)」
おどおどと世話しなく目を泳がせるレイリ―を見ながら、クラナはそんなことを想う。ライノは仲が良いらしいが、元々あまりクラスでもしゃべらないらしい彼の事を、クラナはよく知らない。精々頭がいいらしい、程度の事しか知らないのだ。

「(……それにしても……)」
「レイリ―選手、大丈夫かい?」
「え、あ、はいっ!」
ガチガチに緊張してるなぁ……とクラナは内心で苦笑した。この緊張っぷりで果たしてまともに試合が出来るのか。と思わないでもなかったが、ミウラ・リナルディも試合前はかなり緊張する達だと聞く。相手がなにをしてくるか手の内が分からない以上、一切の油断は許されない。

そう思いながら、二人の少年はリングの外周部へと離れた。

「さぁ、いよいよ、開幕のゴングが鳴ります!!」
ビーっ!と試合開始前の最後のブザーが鳴り響くと共に、クラナはいつも通り構えを取り、レイリ―もまた、本を手に中腰に構える。
そして……

「[Ready set──]」



「[──Fight!!!]」
ゴングが鳴り響いた。

────

立ち上がりは静かだった。

「始めて」
[Observer stand by.]
「アル」
[Second gear unlock.]
距離をとったまま、互いに鏡移しのようにお互いのデバイスに一言命じ、各機がそれに応じる。軽く魔力の揺らぎはあるも
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