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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十九話 オブザーバー
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にしてもドラマがあり、それらを見て、その一端に触れ、何よりそれらを支えることは、一種彼の生きがいのようなものであった。
ベテランであるため、少し癖のある選手を担当することも多く、去年、一昨年などはあのジークリンデ・エレミアの担当を務めたりもした彼だが、そんな彼の目を通してみなくとも、今目の前に居る少年、クレヴァー・レイリ―は……物凄く緊張していた。おそらく十人に聞けば十人が同じように答えるだろうガチガチ具合、対戦相手が憐れんでしまいそうなくらい、彼は明らかに緊張している。
「(しかし……)」
しかし控室の選手やコーチたちが失笑や憐れみ、苦笑を持って彼を見送る中で、アドルフだけは彼に対して、どこかその見た目以上のものを感じていた。
というのも、彼はノービスクラスからここに来るまでの数回の試合、全てがこんな感じでリングに入ってきたが……そのどれもに勝ってきた。それも、割と危なげなくだ。
確かに緊張しているように見える。だが、その緊張が弱さの証左になるかといえば、それはNOだ。緊張してばかりで、毎回対戦相手に憐れまれるような視線を向けられながら試合に入る少年はしかし、ここまでその全てを、敗北に茫然としながら自分を見上げる視線に変えてきた。
勿論一回ならば、偶然でも納得はできた。
しかしその偶然がノービスクラスを超え、スーパーノービスを勝ち抜きエリートクラスに入ってしまっては、なるほど、アドルフは認めざるを得なかった。つまるところ自分は、彼を見誤っていたのだと……
「さて、体調に問題はないかな?」
「は、はい。あ、ありがとうございます、何時も……」
「ははは、これが仕事だからね。それじゃあ今日も、良い試合を。レイリ―君」
「……はい」
この少年には……「何か」があるのだと。
────
ブルーコーナーの選手入場通路で、クラナはアルを取り出して呼びかける。
「行くよアル」
[Roger]
────
レイリ―もまた、小さなメモ帳を取り出して呼びかけた。
「……行こう」
[Roger that]
────
「……マイト、セットアップ」
[Standby ready.]
────
「……アクセルキャリバー」
[Set up.]
────
「[さぁ、熱戦続くIM男子の部エリートクラス一回戦!!第二試合も熱い戦いが見られそうです!!]」
会場を渦巻いていた熱気が、一段と強く渦を巻いた。各試合に出てくる選手が、誰であるのかは、試合を見ている特にコアなファンはよく確認していることだろう。つまるところ「そういう選手」が出る試合、であるということだ。そして一部の選手たちも、この試合に心を躍らせ、リングに注目する。
「……なのは」
「うん……」
観客席で二人の
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