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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十九話 オブザーバー
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てことは……た、ただの水筒ですし……」
[またまた〜、とか言いつつわざわざインターバルまで取っておくんじゃないですか〜]
「アルもう黙ってて!!」
「しかしお前これ、なのはさん特製ドリンクが入った奴だろ?前に言ってたじゃねぇかこれ旨いんだって」
「あ、はい。すげー旨いです、毎回飲みたいくら……じゃなくて!!」
「本音が出たな」
[本音が出ましたね]
「あぁもう……!
思わず出た言葉に焦ったようにクラナが後ろ手に頭を掻く。どうにもこの手の話になるとノーヴェには押され気味になってしまうのが悩みの種だ。あとウチのデバイスがやたら主をからかってくるのだがどうにかならないものか……受け答えを聞いて我が意を得たりとばかりに笑うノーヴェに、クラナは観念したように肩を落として、苦笑気味に答えた。

「……正直、複雑です。あの人たちに何も返せてない俺みたいなのが、こんな応援してもらっていいのかとか……ホントは、この大会に出て、ヴィヴィオの視線の先に居続ける事自体間違いなんじゃないか、って思うことも、まだあります」
[相棒、それは……]
「分かってるよ、大丈夫……ブレてばっかりだけど、でも、一度やるって決めたのにすぐ曲げようとするのは、男らしくないもんな……って、俺が言っても説得力無いけどさ」
実際、自分はライノのような男らしく真っすぐな達とは真逆に、女々しくいつまでも過去の出来事を引きずって周りにも迷惑をかけ続けている、とても弱い人間だ。しかし……

「その弱いとこを克服するための、IMだろ?」
「……はい」
そう、そういう弱さを克服し、もう一度ヴィヴィオたちと向き合うために、自分はIMに出場()るのだ。今はがむしゃらでも、進むしかない。

「……けどなら、この水筒、持つのはキツイか?
「……正直、重いです。けど……」
照れたように若干朱くなった頬を掻いて、クラナが言った。

「……嬉しいです」
「……そうか……」
頬のゆるみが隠せていない。それほどにうれしいのだろう。だから、ためらいなくノーヴェは言ってやった。

「シスコン野郎!」
「いや聞いたのノーヴェさんですよね!!?」

────

「レイリ―君、そろそろいいかい?」
「あ、は、はい。い、いけます」
クレヴァー・レイリ―という少年の担当セコンドとして彼についたDSAAスタッフ、アドルフ・ライゼンが、彼に声を掛ける。アドルフはこれでも二十年以上前からスタッフとしてIMを支えてきたベテランであり、本来若いスタッフがやるこういった選手補助などの(言い方は悪いが)雑務を、進んで引き受ける変わり者の人物であった。
というのも、これは彼自身が試合に入る選手とその選手の戦いを間近で見ているのが飛び切り好きであるからだ。その緊張も、感動も、喜びも、悲しみも、どれ
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