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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十九話 オブザーバー
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を差し出す。金属質な光沢を放つそれは、今日は持ってきていないはずの、クラナの水筒だった。
彼女は真っすぐにそれを差し出したまま、同じく真っすぐにクラナを見つめている。

「ママから。応援してるって!!」
「…………」
「私も応援してるから、だから……頑張ってね!!」
「…………」
半ば無意識に、それを受け取る。たっぷりとなのは特性のドリンクが入っているだろうそれの表面には、応援メッセージらしいメモが張られている。中身が満タンでと入っているせいだろう、それはある程度の重さを持っていて、それが(なのは)(ヴィヴィオ)の自分への想いの重さのようで、余計に重い。
しばし瞑目すると、クラナはそれを軽く握りしめ、手を下した。

「……あぁ」
「!」
それだけ言って、踵を返して控室へと歩き出す。相変わらず、妹の前ではろくに言葉も紡げないまま。伝えたい思いも、返したい思いも、もっとたくさんあったはずなのに、それを半分も伝えられない。
けれど、今はこれでも良い、全ての試合が終わったら、もっと自分が強くなれたなら、その時は、必ず彼女と向き合える……向き合って見せる。そう誓いながら、クラナは控室への道を歩きだす。


「…………」
その姿を、ヴィヴィオは見えなくなるまで見つめていた。

────

「さてと、それじゃアタシたちは、観客席までゴーっス!」
「「「おーっ!!」」」
「お、おーっ!」
ウェンディの言葉に、ちびっ子達とアインハルトが手を振り上げる。そんな様子を後ろから眺めながらしかし、ライノはふと何かに気が付いたように、明後日の方向を見た。

「ん……あぁ、ウェンディさん」
「ん?なんっすか?」
「ちょい知り合いに挨拶してきますわ」
「?」
「ライノ先輩?」
首を傾げて、リオとコロナが振り返るのをみて、ライノは掌をヒラヒラと振りながら微笑する。

「あぁ、ちょーっとな。ま、知り合いが多いと激励したい奴も多いわけよ。すぐ追いつくからよっ」
「ん、わかったっす!席はメールで伝えるっスから~!」
「ありあとござーす!!」
妙な略式のあいさつで、ライノは一同から離れて行く。少し多めの人をよけて行くと、その先に、やけにおどおどとした様子の小柄な影が見えた。

「レイリ―!!」
「うぁっ!?ら、ライノ?」
ライノが向かった先に居たのは、他の出場選手と比べても明らかに平均より一回り小柄な背格好に、少し濃い目の茶髪を短くカットした、童顔の少年だ。
クレヴァー・レイリ―。
以前ヴィヴィオ達にライノが紹介した、ライノと同級生の少年である、よく、同学年に見えないといわれるのだが、それはライノと比べて20p以上も低い身長と、何より彼が見ようによっては少女にすら見える童顔の少年であるためだ、本人はあまりその容
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