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第二十八話
第二十八話 挑戦状
雅美の話を聞いた華奈子はすぐに美奈子にも話した。
「あの話知ってるわよね」
「ええ」
もう美奈子もその話は聞いていた。
「お隣の小学校の六年の人でしょ」
「そう」
「九条雅美さん」
「やっぱり知ってたのね」
「ええ。向こうから宣伝してるしね」
美奈子はいつもよりも冷静な声で述べている。それがやけに威圧感がある。
「じゃあさ美奈子」
華奈子もまた何時になく勝気な声を双子の姉妹にかける。
「わかってるわよね」
「勿論よ」
冷たい言葉での返事であった。
「売られた喧嘩は買うわ」
「そうこなくっちゃ」
「それでね華奈子」
「何?」
「まずは動いちゃ駄目よ」
「あれっ」
美奈子のこの言葉に目をパチクリとさせた。
「動かないの!?」
「そうよ。私達は私達で練習をしていきましょう」
「相手にしないってこと!?」
「最初はね」
「最初はねって」
何か話が読めないでいた。
「どういうことなのよ」
「簡単よ。こっちが無視してるでしょ」
「うん」
「そうしたら自然と向こうから来るから」
「そう上手くいくかしら」
「大丈夫よ」
ここでやっと笑った。だが不敵な笑みであった。
「向こうから勝手に喧嘩売ってきたってことは」
「ええ」
「こっちを意識してるってことでしょ」
「そういえばそうね」
それを言われてはじめて気付く。
「それじゃあ」
「そうよ。こっちが乗らないと多分苛立って」
「自分から出て来るわね」
「そういうことよ。それにどうやらプライドも高いみたいだから」
「乗ってくるわね」
「それでわかったわね」
「ええ、わかったわ。じゃあ」
「そういうことよ」
「無視、ね」
これで二人の方針は決まった。クラウンとしても。今双方の戦いがはじまろうとしていた。
第二十八話 完
2006・11・14
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