第112話 主人公達は時間稼ぎされるようです
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なく、最初からシュウは逆袈裟を放っていた。
見ている方ですら、受けて初めてどこから来たか分かる剣戟なんて。
私も知らない技を持ってたのは今更だけれど、それを受けた久秀はもうおかしいわね。
「今のが私の真似かね?少し驚いたが、完全に的を得ていない。」
「残念、今のは佐助んトコのジーサンが使ってた"虚影"って技だ。お前は風魔の
"現影"を昇華させたんだろ?的が二つあるんだから、完全に外れるよ。」
図星をつかれたようで、苦い顔をする久秀。
どうやら技を知ってはいたけれど、段階が上がっていたせいで理解するまで時間が
かかっていただけなようね。
でも、手合せしていたシュウにここまで習得させず、今まで時間を稼いだ。
「フフフ、凄いわよ久秀。こんなに時間を稼げたんだもの、素直に褒めてあげるわ。」
「おや?まるで私が既に負けた様な言い草だね。」
理由は分からずとも、今までの相手ではなくなったと確信し、私の発言を煽りと
受け取った久秀。
その身からは気でも魔力でもない、達人を越えた者が発せる、"剣気"が立ち上がる。
ミカエルの半分にも届こう量・・・たった三・四百年前に人だったとは思えないけれど
惜しいわねぇ。
「成程……では本気で行くべきかな。」
本気と言いつつもゆっくりと太刀を抜き、そのままの動作で斬りかかる。
シュウが新たに出していた大鎌で薙ぐと、刃が届いていない所で鍔迫る音が鳴り、
次の瞬間には太刀がそこに現れていた。まるで手品師同士が戦っているようだけれど、
片方は仕掛けが分かっていて、片方は技術で補っている。
事実、その片方は理解しているようで、打ち合う度に余裕が無くなって行く。
「あと十合と言う所か、久秀?」
「全く、君と云う奴は嫌な奴だね……!」
ニヤリと分かり易い挑発をすると、見ている方からすれば一瞬、二人にとっては長い
十合の後、言った通り久秀の太刀が断たれ、飛び退いた。
これが、皆が誤解しているシュウの本当の"能力"。
「まずは俺の勝ちだな。」
ドスッ
「ご……!その、ようだね……やれやれ、遂に剣技でも勝てなくなってしまったか。」
飛び退いた背後に先回りしていたシュウが刺突し、漸く一人目の手番が終わった。
悔しそうに肩を竦めた久秀だったけれど、直ぐにいつもの調子を取り戻す。
「さて、順当に愁磨殿には負けてしまったが……。」
「そうねぇ。
困った事に、剣で貴方に勝つには私でも数週間かかってしまうでしょうし、アリアに
至ってはやる気すらないもの。実質あなたの勝ちよねぇ。」
時間稼ぎの為だけ
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