暁 〜小説投稿サイト〜
陸軍兵士が誤って海軍鎮守府に移籍させられてしまったようです
歓送迎会?
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た。
  謝罪の言葉を口にするが気にしていないと言った様子でにこやかな笑顔を向けてくる。 もう一度悪いと声を掛け背を向けるようにして電の前に腰を下ろす

「先に包帯巻いてくれるか?」

「喜んでなのです」

 後ろ手にシャワーを浴びる前に巻き取った包帯を見せると電はきょとんとした表情を浮かべながら手に取るがすぐに頬を緩めテキパキと傷に沿って巻き付けていく。
 ただ時折背に触れる包帯の柔らかな質感とはちがう柔らかで小さな掌が火照っている身体でも感じられる程熱くなっているのが不思議だ。もしかして

「もう三回も手当てしたのにまだ恥ずかしいのか?」

「い、いえ、そんな事はない、のですよ?」

「なら、いいが掌が熱いのはなんでだろうな?」

「そ、そんなに熱いのですか?」

 つい悪戯心で呟くと包帯を巻く手が止まってしまったので後ろ目で電の顔を覗き見ると案の定頬を赤く染めている。
 彼女が恥ずかしがる理由は仮説だが兄貴以外の男との接点がないのが大きいんじゃないんだろうか。

「まぁ、風呂上りで熱く感じるくらいにはな。それより手が止まってるぞ」

「す、すみません」

 俺の指摘に慌てて止めていた手を動かし包帯を巻き始めるが意識させてしまったせいか先程より手際が悪くなった、が十分に早い。
 これなら時間内に頼みごとも終わるだろう。

「暗闇さん終わりましたよ」

「やっぱり早いな」

 まだ始めて十分程。手を止めていた時間を差し引いても十分過ぎるほどに早い。手先が異様に器用なのかもしれないな

「それで頼み事と言うのは?」

「あぁ、髪を梳いてもらおうと思ってな」

 後ろで編んだ三つ編みの結び目を手探りで探し緩める。無理矢理纏められていた髪は束縛から解かれたように左右に散らばり元の場所に戻り始める

「はわわ〜綺麗な髪なのです」

「そうか?」

「はい!サラサラなのです」

 纏めたままシャワーを浴びたせいで若干ボサボサになってしまっているが櫛の動きには引っかかること無く素直に流れていく。
 それを不思議に思ったのか電が手櫛で弄び始めた。髪はゆっくりとした手の動きにも拒むこと無く素直に受け入れ流れる。
 櫛の手も止まっていないしお礼として好きに触らせておくか

「それにしても襟足だけ随分と長くしているのですね」

「あぁ。項うなじを晒していると落ち着かなくてな」

 前髪も目元に掛かる位だが襟足は肩下辺り、女性で言えばセミロング位の長さだろうか。
 長くしている理由としては項を晒す事に抵抗があるからだ。項は人間の数ある急所の一つで警戒しにくい背後にあり狙いやすい。仕事柄そんな部位を晒していると言うのは落ち着かないんだ

「そうなのですか?」


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