Lv37「猫大統領、寿司を食う」後編
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で買い叩かれて、二束三文の財産しか残らないだろう。
しかし、この甥の反応はどうなのだろう?商人の家で育ったのに潔癖すぎる。
我侭に育つのも問題だが、共産主義に染まるのはもっと問題だ。
「叔父っ!金で国すら売ると言ったな!?」
「商国に釣り合う値段だったら売るにゃー」
「俺は絶望したぞ!
いつか正義の刃がその身に降りかかるからな!
俺が奴隷になって死んだとしてもっ!同志がワルキュラとお前を殺す!」
「さぁ、さっさと、マグロ漁船でたっぷり労働の汗を流して、資本主義の大切さを学ぶにゃ」
ニキータは残念そうに言い、甥を部屋から追い払う。
甥は最後まで、ニキータを深く憎悪していて謎だった。
経済発展を優先しなければ、こんな島、貧乏人だらけの巣窟になるだけなのに……。
きっと、甥がマグロ漁船で先輩達に扱かれて、資本主義とか、お金の有り難さを理解してくれると信じるしかない――
プルルルルルゥ!
部屋の固定電話が金属音を響かせた。
電話番号はワルキュラだ。
きっと共産国の情報をプレゼントしたから、報酬をくれるのだろうなとニキータは確信し、受話器を取り、緊張で手が震えながらも猫耳に当てた。
「もしもし、こちらはニキータですにゃー」
『俺だ』
「にゃー!ワルキュラ様には、いつもお世話になってますにゃー!
ありがとうございますにゃー!」
『早速で悪いが……最近、お金を使えと首相が煩いのだ。
何か高い美術品はないだろうか?予算は一千億アヘンだ』
首相が煩い。恐らく、これは遠回しな『べ、別にご褒美を上げる訳じゃないんだからね!』だとニキータは判断する。
天下無敵の皇帝のご機嫌を損ねる事ができる存在が、帝国にいるはずがないのだから。
しかも、ワルキュウの美味しい『ご褒美』はまだまだ続くようだ。
ニキータの猫顔は満面の笑みに染まり続けざる負えない。
『あと、金が有り余って困っているから、一兆アヘンほど預金できないか?
手元に動かしていない金があると、首相が本当に煩くて困る。
お金はアレだな。
あった方が良いが、多くなりすぎると所有者の自由すら奪い去っていく悪魔だな、うむ』
「いつもいつもお世話になってますにゃー。
元金を完全保証する素晴らしい銀行を紹介しますにゃー。
もちろん、利子もそこそこで美味いですにゃ」
これだから、ワルキュラ相手の商売は止められない。
アヘン紙幣を発行し、世界経済を牛耳る相手との商談は、美味しい甘い蜜だった。
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