Lv36「猫大統領、寿司を食う」前編
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にゃー。
就職先を紹介してあげる優しい叔父でごめんにゃー」
ニキータは、己の優しさに感動して震えた。
マグロ漁船といえば、めっちゃ大金を稼げる素晴らしい職業。
体力が必要だが、漁師間のコネもできるし、3年も働けば、中古の漁船を買えるくらいの金は貯まて手堅い商売だ。
普通なら、漁師間の利権問題で、新規参入が難しい分野でもある。
しかし、甘やかされて育った甥は、そんな優しさを理解できてないようだ。
「この外道!
労働者を踏み台にするクズ!」
なんで、甥に良い就職先を紹介しているのに、ニキータが怒られているのか、分からないが口調を変えずにからかうことにした。
「にゃっはははは。
負け犬の遠吠えは見苦しいにゃー。
マグロ漁船で稼いで、立派な男になって可愛い嫁でも見つけて頑張るにゃー」
「どうして!どうして!
叔父上はっ!ワルキュラみたいな大魔王を支援するんだ!」
「それは長ーい話になるのにゃー。
マグロ漁船の乗組員A殿は聞きたいかにゃ?」
「乗組員A殿……!?
……き、聞きたい!」
甥は屈辱を感じているようだった。
共産主義も資本主義も、労働者を侮蔑する思想ではないはずだが、やっぱり、金持ちらしい生活をしているせいで、汗水を垂らして働く職業に抵抗を感じているのかもしれないなぁと、ニキータは甥の将来に、貧乏神の存在を感じた。
一応、実の妹の息子だから、薬物中毒になったり、自殺でもされたら、妹夫婦の抗議が怖い。
更生してくれると嬉しいのだが。
「聞いたら、機密保持のために、爆弾付きの首輪をプレゼントするにゃ。
惑星上の何処にいても、吾輩がスイッチを入れたらドカーンと爆発するけど良いかにゃ?
もちろん、首輪を外そうとしても爆発するにゃ」
ニキータは言いながら、そんな高性能な首輪持ってねぇよーと、内心でツッコミをいれた。
だが、甥は商国の技術力を過大評価しているのか、すんなりと信じた。
「それくらいの覚悟はある!」
「本当に良いのにゃ?」
「くどい!」
「本当に本当に良いのにゃ?」
「男に二言はない!」
この共産主義に向ける情熱を商売に向けてくれたらなぁと、ニキータはこの世が自分の思う通りに進んでくれない理不尽さを呪い、ただの首輪を甥の首に嵌めたのだった。
後編に続く
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