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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百九十四話 囚われ人
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否定する以上、自分も帝国を否定する、当然の感情だろう。そしてそれを決定したのが劣悪遺伝子排除法だ」
『……』
ルドルフの行った事が全て間違いだとは思わないが、劣悪遺伝子排除法と己の遺伝子への盲信、その二つで十分ルドルフは暴君と言って良い。帝国は今ルドルフの呪縛から抜け出そうとしている……。
そしてそれはオーベルシュタインも一緒だったのかもしれない。オーベルシュタインにとってはあの法を廃法にすることこそが呪縛からの脱出だった……。
「どれほど帝国が変わろうとあの法が有る以上自分を見る周囲の目は変わらない。自分の居場所は何処にも無い、そう思ったのかもしれない。そして直ぐ傍に帝国を滅ぼしたいと思って居るローエングラム伯が居た」
『……』
「劣悪遺伝子排除法を廃法にしておけば、オーベルシュタインはローエングラム伯を上手くコントロールして改革に協力させたかもしれない……」
『エーリッヒ、それは』
「分かっている。私の勝手な思い込みだ。劣悪遺伝子排除法を廃法にしても結果は変わらなかったかもしれない……。いや、変わらなかっただろう。それでもやっておくべきだったと思うんだ、悔いが残るよ」
『……』
劣悪遺伝子排除法が無ければ、ルドルフが遺伝子を盲信しなければ、オーベルシュタインは障害はあるが優秀な人物として周囲から認められただろう。性格もあのように他者を拒むようなものにはならなかったかもしれない。
冷静沈着ではあっても冷酷ではないオーベルシュタインか……。周囲からも信頼されたかもしれない。同盟に生まれても同じだったはずだ。それなのに彼は今の帝国に生まれた。残酷な話だ。
もし、オーベルシュタインに生まれる世界を選ばせたなら彼はどんな世界を選んだだろう。劣悪遺伝子排除法の無い帝国か、或いは同盟か……。それとも今の帝国を選んで、自らの手で滅ぼす事を望んだだろうか……。
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