Lv34「狐娘とテレビと児童車」後編
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な亡者達を解放した事がばれてしまう。
そんな事になったら、人権なにそれ美味しいの?って感じに、酷い陵辱を受けた後に殺されて、小さな箱に魂を封じ込められて強制労働させられちゃうかもと、キーニャンは焦りに焦りまくる。
だが、ワルキュラが続けて言った言葉は――
「知り合いの車メーカーの社長から『永遠の命に栄光あれぇー!』という謎の言葉とともに貰った自動車があるのだが……俺は車に乗らないし、転移して移動するから持っていても要らないのだ。
どうだろう?自動車は要らないか?」
「じ、児童車!?」
狐娘の脳裏に、小さな子供達が、馬の代わりに馬車を引いている地獄絵図が思い浮かぶ。
馬ですら苦しむ重労働を、子供達にやらせるなんて非道にも程がある。
きっと、何かの聞き間違いだ。そう、キーニャンは思いたかったが――
「うむ、自動車だ。
高級品だから驚いたか?」
「じ、児童で動く車なんですか?」
「いや、正確には半自動だな。操縦だけは運転手がやらないといけないぞ」
「い、要りません……!
私には、そんな車を使いこなせる自信がないです……もっふぅ……」
「要らないなら、転売してくれても良いのだがな……」
「て、転売!?」
ワルキュラの人間への扱いを聞いて、キーニャンは自分の体重がドッシリ重くなったように感じた。
小さい子供達を売買しているという話は、以前にも聞いた事があったが、哀れな子供達を文字通り『馬車馬のごとく働かせる』そんな酷すぎる現実に、心が病みそうだ。
ただでさえ、子供は力がないのに、圧倒的なパワーを持つ馬と同じ事をさせるなんて……もう児童虐待としか言えない。
「もっふぅ……可哀想……」
「可哀想……?よく分からないが、本当に自動車が要らないのか?
馬車と違って、道端で糞を出さないし、早くて快適だぞ?」
「い、いえ、要りませんっ……も、もっふぅ……
(そんな事のために、小さな子供達に、車を牽かせているなんて怖いよっ……!)」
「そうか……要らないのか。
どう処分したものか……」
しかも、容赦なく児童達を殺処分する気のようだ。
要らない道具は捨てずに、殺すなんて酷い。
やはり生者と死者の間には、深すぎる溝が広がっているとしか思えない。
価値観が根本的に違いすぎて、共に生きていくなんて不可能だ。
「わ、私が貰わないと(児童が)処分されちゃうんですか!?」
「うむ、部下に下賜しようと思う」
「そ、その部下さんは、子供に優しいんですか?」
「エルフとかに転生しないと、子孫を残せない奴らがほとんどなのだが……?」
そうだ。骸骨のワルキュラの部下だって、アンデットに違いない。
つまり、子供達は、無残にも弄ばされて殺されるのだろう。
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