Lv33「狐娘とテレビと児童車」中編
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何度も何度もキーニャンは悩んだ。そして、テレビを見続けて気がついた。
どの番組も、最初に『ご覧のスポンサーの提供で送ります』とナレーションさんが呟き。
最後になると『ご覧のスポンサーの提供で送りしました』と言っている。
やはり、ゴランノ・スポンサーという企業が、帝国内で暗躍し、非道なテレビという道具を作っている事は決定的すぎる事実なんだなぁとキーニャンは恐怖で体がプルプルッ!モフモフと震えた。大きな自分の尻尾に抱きついて落ち着く。
黄金の尻尾を2回モフモフ、3回モフモフ、5回モフモフ。
1とその数字でしか割り切れない素数の回数分、モフモフ。
素数という孤独な数字とともにモフモフすると、心が落ち着いて、ショタな狐人の彼氏がほしいなぁという思いとともに、キーニャンは安らいだ。
「もっふふふ」
『ワルキュラ6!
君も宝クジを買って、億万長者になろうよ!』
「もっふぅ……?」
テレビの中では、眩しい光とともに宝くじの宣伝をやっていた。
こんなホラーな道具で、宣伝されても買いに行く気になれない。
宝くじの収入は、帝国の国庫に入るから、アンデットを喜ばせるだけだ。
でも、当たりクジは欲しいなぁと、貧乏に苦しむ狐娘は思った。
『この薬を飲んだらエルフ娘になれました!
エルフ娘になれーる販売中!
値段はたったの一億アヘン!
夢の不老長寿がアナタのものに!』
「もっふぅ……」
狐人は不老種族だから、不老長寿に価値を見いだせない。
既に資産として持っている物に憧れるはずもないのだ。
でも、一億アヘンもあれば、神社で自由で快適な生活をしながら、昼寝できてモッフフだなぁと、キーニャンは妄想する。
『夏はこれだ!冷えた縞々パンツ!
コンビニで販売中!』 尻尾があるから、パンツ履けない。
『無農薬キャベツ!キャベツ!美味しいキャベツをよろしくね!』
『最新テレビゲーム!宇宙侵略者販売中!』
テレビに映る映像の数々。これは死んだ人間達が無理して必死に宣伝していると思うと、キーニャンの心は切ない。
黄金の狐耳が下に垂れて元気を失う。
死後の人生まで拘束され、小さな箱の中で労働させられる亡霊達が――とてもとても哀れだった。
「ワルキュラ様はやっぱり……人類の敵……もっふぅ……」
人間王国で起きた大惨劇。サンレイという巨大な光で、一瞬で200万人の人間を消し飛ばしたそうだ。
ワルキュラは、やはり冷酷非情な大魔王と言わざる負えない。
でも、キーニャンに気さくに話しかけて、プレゼントをくれるワルキュラは優しい。
どれが本当の彼なのだろうか?
『漫画の祭典ルビー祭り開催!
集え!全国の漫画好き!』
「もっふぅ……?もっふぅ……?」
人間はいろんな顔を持つ。
キ
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