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第二十一話
第二十一話 魔法と音楽
先生の言葉にとりわけ影響を受けたのは春奈であった。家に帰ってからも考え込んでいた。
「御主人様、今度は音楽なんですね」
「ええ」
春奈はそれに答える。
「頑張って下さいね」
「私達に出来ることなら協力させてもらいますから」
「有り難う」
イーとリャンにそう答える。家でもキーボードを手に練習に励んでいた。家のベランダで音を抑えて練習しているのだ。
「ここでこうして」
弾きながらシャボンを出してみる。
「こうよね」
シャボンを出して浮かび上がらせる。
「それでこうやって」
「あっ、そこは」
「こうした方がいいですよ」
イーとリャンはそこでは水を出してみた。春奈の周りに水飛沫が舞う。
「そうしたらですね」
「多分赤音さんの光で」
「赤音ちゃんの光!?」
その言葉を聞いてはっとする。
「そうですよ、水飛沫に光で」
「何が出ます?」
「虹・・・・・・よね」
「そうです、虹です」
「そうしたらシャボンよりもずっといいですよね」
「ええ、確かに」
言われてはじめて気付いた。大きく頷く。
「そうね、私一人がやるんじゃなく」
「他の人のと合わしてみれば」
「どうですか?」
「ええ、わかったわ」
春奈の顔がどんどん明るくなっていく。
「他にも風でシャボンを飛ばしたり」
「そうそう」
「音楽に乗ってシャボンが飛んだりとかよね」
「そういうのやっていけばいいですよ」
「多分面白いことになりますから」
「そうね、どんどんやってみるわ」
笑顔で使い魔達に答える。
「有り難う。イー、リャン」
「まあ御礼はいいですよ」
「御主人様のお役に立てればね。使い魔ですから」
「けれど有り難う」
優しい性格の春奈はそれでも二匹に礼を言う。
「おかげで凄いことになりそう」
「まあそう言われると」
「私達も」
照れ臭そうにする二匹。だが悪い気はしない。
春奈は次の日まずは赤音のところに向かうことにした。何も魔法は自分だけのものではない、それに気付いた春奈、そしてクラウンは大きく変わろうとしていたのであった。
第二十一話 完
2006・10・18
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