第六章
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「本当に全然違うな」
「滅茶苦茶不思議な曲だよ」
「あの二人が歌うだけで」
「凄い曲になってるな」
CDは飛ぶ様に売れた、それでだった。
二人は歌の分野でも評判になった、社長もその二人を自分の部屋に呼んで言った。
「自分等今めっちゃ人気やな」
「歌の方でも」
「そうなってくれて有り難いですわ」
「ミリオンとかいかんまでもや」
それでもというのだ。
「大人気や、アニメのオープニングの話も来てるわ」
「あっ、わし等の曲がですか」
「アニメの主題歌ですか」
「それはええですな」
「夢みたいな話ですわ」
「ほんまや、まさかな」
社長は自分の席で唸って言った。
「ここまで人気が出るってな、ただあれやろ」
「あれ?」
「あれっていいますと」
「あれっていうたらあれや」
社長はいぶかしむ二人に言った。
「自分等の本分や」
「ああ、漫才ですな」
「それも話ですな」
「それや」
まさにというのだ。
「これからもそっちがメインやろ」
「そら当たり前ですわ」
「言うまでもないですわ」
こう返した二人だった。
「わし等漫才師ですし」
「芸人ですさかい」
「歌が好評なのは嬉しいですが」
「やっぱり本分は漫才ですわ」
「これからもずっとやっていきます」
「漫才でやっていきます」
強い声で言うのだった。
「絶対に」
「歌はあくまでその次ですわ」
他の仕事もというのだ、二人のその言葉を聞いて。
社長も満足した笑みでだ、こう言ったのだった。
「それでええ、自分等は歌でも評判になったけどな」
「それは元々漫才からで」
「漫才師で評判になったからですさかい」
「若し漫才師やなかったら」
「CD出せたかどうかもわかりませんわ」
「そや、ほなここからもな」
社長はまた二人に言った。
「漫才気合入れてやれや」
「そうしてきます」
「二人で」
「自分等はその個性で足し算にならん」
レコード会社の社員の言葉を聞いていたのでそのうえでの言葉だ。
「自乗されるさかいな」
「その自乗パワーでやっていきますわ」
「二人で」
まこととみのるもこう社長に返した、そして実際に二人はあくまで漫才師として二人でやっていった。だが。
CDの印税についてだ、二人はどうしたかというと。
「串カツ食おか」
「いや、焼肉や」
「じゃんじゃん飲むでじゃんじゃん」
「ハイボール飲み放題や」
二人で難波の街、丁度チェーン店の居酒屋が並んでいる前を歩きつつ言っていた。
「印税入ったんや」
「それで豪遊や」
「ビールビール!」
「おっちゃんお金持ってんで!」
酒に使っていた、二人で心ゆくまで。
デカとチビ 完
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