第四章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ペーターは驚いた、それで交際がはじまって暫く経ってからだ。クライストの家に行ってそのうえで彼に事情を話した。
そのうえでだ、彼の目を観て問うた。今日も飲みものはハンブルグで買ったコーヒー豆で煎れたコーヒーだったがお菓子はチーズケーキだ。
そのチーズケーキを食べつつだ、ペーターはクライストに尋ねた。
「クライストさんの言う通りにしたら」
「上手くいったな」
「はい、今じゃ本当に」
「交際出来ているな」
「もう何度もデート出来ています」
「そしてそれ以上の関係にだな」
「なっていますけれど」
それがどういった関係かはお互いあえて言わなかった、この辺りは二人共わかっていて行間に入れていた。
「それでもですよ」
「何故わしの言った通りにしたら」
「なったのか」
「それが不思議だな」
「クライストさん確かあの時」
相談に乗ってもらった時のことをだ、ペーターは言った。
「彼女の写真を見せたら」
「それでアドバイスをしたな」
「それだけだったじゃないですか」
まさにというのだ。
「それでどうして」
「わかったからな」
「わかった?」
「彼女の写真と御前さんを観てな」
「それだけで、ですか」
「わかったからな」
だからだというのだ。
「全てな」
「ええと、どうすればいいのか」
「まず携帯の写真を撮ることを快諾してたな」
「はい、その場で笑顔で」
「君から言ったな」
「そうでした」
その通りだとだ、ペーターも答えた。
「実際に」
「そして写真では明るい屈託のない笑顔だった」
「彼女も」
「そこで脈ありと確信した、わしはな」
「あの時でそこまで」
「わかった、そして彼女の写真を観てその性格や趣味もわかった」
そうしたこともというのだ。
「全部な」
「それでそのうえで」
「御前さんを彼女の好みに合わせたのだ」
「それで、ですか」
「今の御前さんがある」
「何か魔法みたいですね」
「何、これ位出来ないとな」
笑ってだ、クライストはペーターに返した。
「無理だったからな」
「無理だった?」
「ロミオは知ってるか?」
「ロミオですか」
「そうだ、ロミオだ」
「あのロミオとジュリエットの」
この名前を聞いてだ、ペーターはまずはあまりにも有名なシェークスピアの代表作の一つのタイトルを思い出した。
「あれですか」
「そして他にも思い出さないか」
「ええと、それは」
「歴史の本でなかったか、東側のロミオだ」
「それってまさか」
「聞いたことがあるな」
「東ドイツの工作員ですね」
東側と言われてだ、ペーターも思い出した。
「西ドイツ政府の女性職員をたらし込んで情報を手に入れるという」
「それだ」
「まさかクライストさんは」
「わかっ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ