第三章
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「この笑顔か」
「そうだけれど」
「成程な、それではだ」
クライストはさらに言った。
「君がやるべきことはだ」
「はい、それは」
「まずは髪の毛をセットすることだ」
「髪の毛をですか」
「そのぼさぼさとした感じの髪をだ」
それをというのだ。
「オールバックにするのだ」
「オールバックですか」
「そうだ、そして服は真面目な感じにしてだ」
そのくたびれた感じの服ではなく、というのだ。
「喋り方も引き締まったものにし背筋も伸ばす」
「そうしたらいいんですね」
「そしてだ」
「そして?」
「君は趣味は何だ」
「読書と音楽鑑賞、サッカーの試合の観戦です」
「他にはゲームかな」
「あっ、わかりますか」
「何となくな」
クライストは笑ってペーターに答えた。
「だがその通りだったな」
「はい、実際好きです」
「そうだな、ではな」
「それでは」
「そこにもう一つ加えたらどうか」
こうペーターに提案するのだった。
「さらに」
「もう一つとは」
「アニメ鑑賞をな」
「アニメですか」
「そうだ、アニメ鑑賞もだ」
それもというのだ。
「君は嫌いではなさそうだしな、アニメも」
「それはその通りですが」
「ならそれもだ」
「アニメ鑑賞も」
「はじめることだ」
趣味としてというのだ。
「いいな」
「そうしたらいいんですね」
「読む本はゲーテやトーマス=マンも読むことだ」
「純文学ですか」
「それもだ、音楽はこのままでいい」
「何か」
ここまで聞いてだ、ペーターは考える顔になってクライストに尋ね返した。
「実は僕は」
「この娘にだな」
「告白して付き合いたいと」
「それはわしもわかっている」
クライストはここでにやりと笑って彼に言った。
「だからだ、ここはだ」
「今クライストさんが言われたみたいにですか」
「するといい、騙されたと思ってな」
「それじゃあ」
「その様にな」
「やってみます」
ペーターは狐に抓まれた気持ちだったがそれでもだった、クライストがあまりにもはっきりとしかも具体的に言ったので従うことにした。
それでだ、髪をオールバックにしてぱりっとした服に着替え背筋をいつも伸ばす様にして。
ゲーテやトーマス=マン等純文学も読みアニメも観る様にした、すると。
自然とだ、ハンナの方からだった。
近寄ってきて声をかけてきてだ、彼女から文学やアニメの話をしてきた。彼はそれに話を合わせられてだった。
自然と関係が出来ていって友人から彼氏彼女の関係になった、何時の間にかそうなってしまっていてだった。
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