第二章
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そのうえでだ、ペーターに笑って言った。
「わしの部屋に来い、話を聞こう」
「いいの?」
「丁度美味いケーキとコーヒーがある」
明るく笑ってだ、ペーターにこちらも出してみせた。
「代用コーヒーでなくな」
「代用コーヒーってあの」
「東ではよく飲んだ」
「日本人が言うには麦茶とかいうお茶の味がする」
「そうらしいな」
「そのコーヒーは別にいいけれど」
「だからこのハンブルグで買ったコーヒーだ」
「飲みながら」
そしてとだ、ペーターも応えた。
「僕の話を聞いてくれるんだ」
「ケーキはオーストリアから取り寄せたザッハトルテだ」
「ケーキはそっちなんだ」
「どうだ、一緒に飲んで食べながらな」
「それじゃあ言葉に甘えて」
「やっぱり口にするものは西側だな」
笑ってこうも言ったクライストだった。
「東のものは最悪だった」
「そんなにまずかったんだ」
「代用コーヒーは日本人はどう言うか知らないが」
麦茶の味がするというそれはというのだ。
「美味いと思ったことはない」
「普通のコーヒーが飲めないって」
「そんな国だったんだ」
「同じドイツなのに」
「昔はそうだった、とにかくだ」
「コーヒーとザッハトルテを食べながら」
「話をするか」
自分からペーターのところに行って彼の背中に手をやってだ、クライストは彼を自分の部屋に迎え入れた。そして妻にコーヒーとザッハトルテを出させてだ、そのうえで彼から話を聞いた。
ペーターはクライストにだ、屈んだ感じの姿勢のままザッハトルテを食べつつ言った。
「実は僕今好きな人がいるんだ」
「そっちか」
「うん、同じ学年のハンナ=シュルゼンっていう娘で」
「奇麗な娘か」
「僕から見ればね」
フォークを動かしながら答えた。
「かなりね」
「写真はあるかい?」
クライストはペーターに尋ねた。
「その娘の」
「写真?」
「どんな娘か見たくなった」
笑って言うのだった。
「だが安心するのだ、わしはもう爺さんで痛風持ちだ」
「健康でもだよね」
「もう女の子は婆さんだけだ」
「手は出さないってことだね」
「しかも学生さんには興味がない」
このことも言うのだった。
「安心するのだ」
「まあクライストさんはそうした人じゃないね」
「だから安心するのだ」
「うん、それじゃあ」
ペーターは自分の携帯を出してその女の子の写真を見せた、赤髪をツインテールにしていて青い大きな目に丸い感じの顔に小さな唇を持っている可愛らしい少女だ、服装も子供みたいな感じで丈の短いスカートがよく似合っている。身体つきも幼い。
その少女の写真を見せてだ、ペーターはクライストに話した。
「画像撮らせてって言ったら快諾してくれて」
「撮らせてくれたのか」
「う
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