第一章
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セントバーナード
スイスのインターラーケンに住むハイドニク一家は両親と息子一人という家族構成だ、家業は時計や土産物、後色々と売っている所謂雑貨屋だ。
店はそこそこ繁盛している、だが。
父親であり夫であるハンスは近頃だ、妙に寂しいものを感じていた。それでその茶色の口髭に手をやりつつ妻のヨハンナに言った。
「物足りないな」
「物足りないって?」
「最近何か」
蜂蜜色の髪を長く伸ばし後ろで伸ばしていて薄いブルーの瞳を持つ面長で鼻の高い妻の顔を見て言う。ハンスは茶色の髪を短く刈り口髭をたくわえている。目はグレーで大柄でがっしりとした体格は山男のものだ。
その彼がだ、店が暇な時に妻に言ったのだ。店の二階が家である。
「そんな感じがするな」
「そうなの、そう言われると」
「御前もか?」
「何かね、特にね」
「ああ、フリッツがな」
「あの子お友達と遊ぶことが多いけれど」
「家ではな」
ハンスも言われて言う。
「最近な」
「寂しい感じでしょ」
「そうだな」
実際にとだ、ハンスは妻の言葉に答えた。店の中にある時計やその他の売りものを見回しつつ妻に答えた。木造の店の中は掃除も行き届いている。
「本を読んだりしてな」
「そうしてるけれどね」
「あまり楽しそうじゃないな」
「お家にいたら」
「案外家にいたらな」
どうにもとだ、ハンスは言うのだった。
「ゲームはしてもな」
「あの子ゲームはあまりしないから」
「だから余計にだな」
「寂しいのよ」
「家の中ではな」
「どうしたものかしら」
「そうだな、俺達も寂しいし」
このことも合わせて言うのだった。
「それにこの前街に泥棒が出たって言ってたな」
「あったわね、そうした話も」
「だから用心も兼ねてな」
そのうえでとだ、ハンスはヨハンナに述べた。
「犬を飼うか」
「ペット、それに番犬に」
「そうするか」
「犬を飼うのね」
「そうするか」
こう妻に言うのだった。
「どうだ?」
「そうね、犬ならね」
それならとだ、妻も話を聞いて答えた。
「番犬にもなるし」
「しかも家族としてな」
「いいわね、フリッツにもね」
「あいつもこれで寂しくないだろ」
「そのことも大きいわね」
「ああ、じゃあな」
妻にあらためて言った。
「これからな」
「犬、飼うのね」
「そうするか」
こう夫婦で話してだった、二人は家に迎えるべき犬を探しはじめた。ネットやペットショップに入って犬を探すと。
二人の目にある子犬が目に入った、その子犬はというと。
「セントバーナードか」
「我が国の犬ね」
写真にはその種類の子犬がいた、白地で茶色と黒の模様があり耳が垂れた犬である。スイス産の最も大きな種
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