第四章
[8]前話
「幾ら何でもね」
「やり過ぎか」
「いきなりあんな顔が出て来たら」
前の将軍様のだ。
「誰だって驚くどころじゃないわよ」
「だから気絶したんだな」
「あんな不気味な顔ね」
ここまで言う麻衣だった。
「急に暗がりから出て来たら」
「驚くんだな」
「気絶したわよ」
驚くどころかというのだ。
「この通りね」
「悪い、やり過ぎた」
「やり過ぎよ、ただね」
「ただ?」
「しゃっくりは止まったわ」
肝心のそれはというのだ。
「お陰でね」
「そうか、それはか」
「止まったわ」
見れば全くしていない、すっきりとしたものだ。
「本当にね」
「それは何よりだな」
「ええ、気絶したからね」
驚くどころかというのだ。
「一気に治ったわ」
「それは何よりだったな」
「このことは有り難う、けれどね」
「それでもか」
「そう、もう二度とよ」
それこそ何があってもというのだ。
「しないでね」
「ああ、わかったよ」
徹也も麻衣の抗議しての言葉に頷いた。
「流石に強烈過ぎたか」
「今度しゃっくりが止まらない時は普通のやり方でお願いね」
「尊師はどうだ?」
「それも気絶するわよ」
前の将軍様と同じくというのだ。
「絶対に」
「やっぱりそうか」
「心臓が止まるわよ」
それこそというのだ。
「だからね」
「絶対にか」
「そっちも止めてね」
「わかったよ」
徹也も頷いた。
「流石に刺激が強過ぎるか」
「夜に遭いたくないでしょ」
尊師の方もというのだ。
「いきなり前から出られたら」
「妖怪より遥かに怖いな」
「そうよ、だからね」
それでというのだ。
「そっちも絶対に止めてね」
「そうするな」
「まあしゃっくりはね」
肝心のそちらはというと。
「止まったわ、有り難う」
「そうか、中々止まらなかったのにな」
「お陰で止まったわ」
驚いた結果というのだ。
「それは確かよ」
「そうか、止まったんだな」
「この通りね、けれどね」
「今度そうなったらな」
「別のもっと穏やかな方法でお願いするわ」
「そうするな」
徹也はここでまた頷いた、何はともあれ麻衣のしゃっくりは止まった。しかし前の将軍様のついでに尊師のメイクは家でも店でも御法度となった。あまりにも刺激が強過ぎるので。
しゃっくり 完
2016・9・17
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