第三章
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「ちょっと考えたんだよ」
「メイクですか」
「それで奥さんを驚かせてですか」
「しゃっくりを止めたいんですね」
「ああ、それでそのメイクは知り合いのアーチストに頼むけれどな」
メイクアーチストにだ。
「ちょっと凄いのにするぞ」
「凄いって妖怪ですか」
「私達が妖怪にメイクするんですね」
「それで驚かせるんですね」
「そうするんですね」
「そうしような、ただ妖怪かっていうとな」
それはともだ、徹也は店員達に話した。
「違う、実在人物だ」
「実在人物?」
「誰になるんですか、俺達」
「人が見て驚く顔って」
「一体」
「それはな」
徹也は洋平をちらりと見てからそれが誰か話した、すると。
洋平も他の面々もだ、それはという顔になってそれぞれ頷いてだ。そのうえで徹也に対して笑顔で言った。
「それはいいですね」
「それ誰でも驚きますよ」
「心臓の弱い人ならショック死しそうですね」
「そこまで効きますよ」
効果テキメンだというのだ。
「いや、強烈過ぎますね」
「それ最高ですね」
「じゃあそれでいきましょう」
「奥さんのしゃっくり止めましょう」
「それじゃあな」
徹也は店員達が笑顔で頷いたのを見て決めた、そして。
実際に知り合いのメイクアーチストを呼んでだった、事情を話してだった。徹也がメイクを受けたのであった。
勿論麻衣には知らされていない、その麻衣が出勤した時に。
店に入ると真っ暗だった、まだ開店前だったがいつも店員達が開店準備に勤しんでいるのでいぶかしんだ。
それでだ、すぐにこう言った。
「誰かいないの?」
「・・・・・・・・・」
返事はなかった。
もう一度言った、だが。
やはり返事はない、それでだった。
麻衣はもう誰か来ている、少なくとも夫はと思いつつもだった。とりあえずは灯りをつけようと照明のスイッチのところに向かったが。
その前にだ、横からだった。
「いらっしゃいませ」
急にだ、前の将軍様が出て来てだった、しかも。
下から懐中電灯で照明を当てて死人の表情だった、その前の将軍様を見てだった。
「・・・・・・・・・!!!!!!」
麻衣は声にならない驚きの声を挙げた、そのうえで。
その場に仰向けになって倒れた。それを見てだった。
将軍様は照明を点けて状況を見た、するとだった。
麻衣は泡を吹いてそのうえで仰向けに気絶していた、その彼女を見てだ。
将軍様はおやという顔になって言った。
「あれっ、気絶したぞ」
「そうですね」
「驚いたことは驚きましたけれど」
「奥さん気絶してますね」
「もう完全に」
店員達も出て来て言う。
「驚き過ぎて」
「そうなっちゃいましたね」
「これはやり過ぎましたかね」
「どうにも」
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