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しゃっくり
第二章

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「相変わらず太り過ぎだな」
「漫画のキャラに似てますね」
「十九号だよな」
 徹也は洋平にこう返した。
「あの漫画のな」
「はい、そっくりですよね」
「それネットでも話題になってたな」
「何ていいますか」
 あらためて言う洋平だった。
「この一族代々太ってるみたいですね」
「祖父様がそもそもな」
 初代からとだ、徹也は洋平に答えた。ミルクティーを飲みつつ。
「太っててな」
「それで親父さんもですよね」
「太っててな」
「今の将軍様もですね」
「国民は餓えてるのにな」
 それでもというのだ。
「自分達は、だよ」
「肥満してますね」
「成人病にもなってるらしいな」
 肥満が過ぎてだ。
「どうもな」
「国民は餓えてて自分は、ですか」
「酷い話だな」
「全くですね、それで今の将軍様は顔はましですが」
 こうも言った洋平だった。
「ですが」
「ですが?」
「前の将軍様は」
「ああ、不細工だってか」
「本人ここにいないから言いますけれど」
「それあっちの国で言ったら大変だぞ」
 不敬罪だのとみなされてだ。
「即刻粛清だぞ」
「やっぱりそうなりますね」
「ああ、実際に言ったらな」
 その国でだ。
「死ぬぞ」
「そうなりますね、それに本人もう故人ですし」
「そうだな」
「けれどあの顔で、です」
 前の将軍様のそれで、というのだ。
「夜道急に出られたら怖いですね」
「ああ、そうだな」
「どっかの尊師と同じだけ」
 あるカルト宗教のだ。
「怖いですね」
「それもな」
 徹也は調子に乗ってさらに言った。
「尊師と一緒にとかな」
「ああ、それ最強ですね」
「夜道に横からな」
「にゅっと出て来たら」
「気絶するな」
「交番に出たら逮捕されそうですね」
「犯罪やってなくてもな」
 不審者としてだ。
「妖怪より怖いな」
「絶対にそうですね」
「前の将軍様は本当にな」
「そんな顔でしたね」
 今の将軍様、三代目を観ての言葉だ。世襲制の共産主義という有り得ないシステムの国家の国家元首を。
 徹也はこの話からだ、思いついた。それで店員達を妻がいない時に集めてそのうえで言うのだった。
「ちょっとメイクしてくれるか?」
「メイク?」
「メイクっていいますと」
「ああ、全員でな」
 店員達全員でというのだ。
「うちのかみさんが店に来た時にな」
「奥さんしゃっくり止まらないですね」
「奥さん自身困ってますよね」
「どうしても止まらなくて」
「それで」
「それを何とかする為にな」 
 だからこそというのだ。
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