第一章 天下統一編
第三話 秀清との密約
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父に義叔父上を家臣に欲しいと願いでます」
「何故、十四日後なのだ。随分とゆっくりだな。直ぐでは駄目なのか?」
間を空けずに義父に秀清引き抜きの話を持ちかけたら、俺と秀清が企んだと考え意固地になるに違いない。そうなると義祖父を黙らせる以前の話になり計画が暗礁に乗り上げてしまう。まずは引越手伝いの礼を伝えるために義父を訪ねる。そこでは人材が欲しいとは義父に言わない。義父から何か言ってくる可能性はあるかもしれない。多分、秀吉から義父に話がいっているだろうからな。
「俺が人集めに奔走して困っていると思わせないと不味いからです。義父上と義母上は外聞を気にする人です」
「兄上は世間体を気にするからな。お前が困っているのに手助けもしない冷たい奴と周囲に囁かれることは一番嫌がるだろうな。名門意識の強い義姉上は尚更だ」
秀清は納得した様子で頷いた。
「それに引越の日から間を空けないと、義父上は俺と義叔父上が示し合わせていると勘繰りを入れると思います」
「俺が関わっていると感じたら俺の邪魔をせずにはいられないだろうな」
秀清は苦笑しながら言った。彼は義父の反応が手に取るように分かるようだった。
「義叔父上は俺が義父上に話を通してから協力してもらいます。義父上は義叔父上に俺の元に行けと命じるはずです。それを拒否し続けてください。理由は『父上の命には逆らえません』と返事してください」
秀清は俺の計画の全容が理解できたのか悪い笑みを浮かべた。
「兄上が頭にくるまで固辞し続ければいいのだな?」
「命が危なくなったら俺の元に逃げてくればいいです。後のことは義父上がどうにかしてくれるでしょう」
「分かった!」
「ところで。義叔父上、今貰っている知行は幾らです」
「五十石だ」
五十石。三千石の旗本の家老なのに石高が相場より少ない。相場は八十石位だろう。秀清を馬車馬の様に扱き使っておいて、相場より低い知行しか出さない辺り、義父と秀清の確執が垣間見える。
一人しかいない家老をあからさまに冷遇する義父は器が小さい。秀清が辞めたらどうする気なんだ。
「義叔父上、俺は百五十石出します。俺の筆頭家老として力を貸してください」
俺は迷わず秀清に告げた。家老は能力だけじゃなく、信頼できる人物じゃないといけない。五千石の旗本である俺は残り四人の家老が必要になる。秀清を筆頭家老とし、次席家老に百五十石、家老三人に百石ずつでいいだろう。
俺は家臣団を作るための第一歩を踏み出した。
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