第二章
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「そうなってるさ、その北京もな」
「首都はどうなの?」
「マクドナルドがあってケンタッキーがあって」
「コーラも売っていて」
「西洋があるさ、けれどな」
「上海とは違うわね」
「ここは独特だよ」
中国のどの街、どの場所とも違うというのだ。
「他の街にはないものがあるんだよ」
「よく言われるわね」
「この店だってそうだろ」
「ええ、ただアメリカの真似かっていうと」
「また違うだろ」
「付け焼刃じゃないわね」
「まさにな」
それこそというのだ。
「根付いた西洋でな」
「そしてよね」
「上海なんだよ」
この街そのものだというのだ。
「この店もな」
「そういうことね」
「ああ、西洋だよ」
広良はまた言った。
「ここはな」
「中国に他にこうした街はないわね」
「香港とかマカオはな」
「そっちには行ったことあるの?」
「ないけれどな」
旅行好きの広良もだ。
「まだな、けれどテレビとかで観るだろ」
「ええ、よくね」
「ネットとかでも、けれどな」
「そこで観る香港やマカオは上海とは違うわね」
「西洋があってもな」
「上海とはね」
「また違うんだよ、本当にここはな」
まさにとだ、広良は自分のカクテルを一口軽く口の中に入れて話した。
「独特の、他の何処でもない場所なんだよ」
「上海ね」
「ああ、そうだよ。じゃあな」
「ここで一杯飲んだらな」
「次のお店に行くのね」
「次は何処にする?」
「そうね、古いお店がいいわね」
微笑んでだ、秋姫は広良に答えた。
「昔ながらの」
「昔ながらのか」
「租界地だった場所にね」
かつて西洋諸国が上海の中に持っていた場所だ、そこで西洋人達が住み今の上海につながる独特の雰囲気を形成する要素になった。
「いいお店知ってるのよ」
「そこにか」
「行かない?」
「それで何処の租界地だった場所だ?」
「イギリスよ」
この国だとだ、秋姫は答えた。
「あそこの租界地にね」
「その店があるんだな」
「洒落たバーよ」
「ここと一緒か」
「ここはアメリカでしょ、けれどね」
「イギリスの租界地だったからか」
「イギリスの感じよ」
こう広良に話した。
「そこはね」
「そうか、イギリスか」
「どうかしら」
「ああ、そうだな」
一呼吸置いてからだ、広良は答えた。
「イギリスの食いものはまずいって評判だけれどな」
「それ有名よね」
「それでもだな」
「そっち行ってみる?」
秋姫は誘う笑みで広良に言った。
「次は」
「そうするか」
「それじゃあね」
「この店はこの一杯で終わって」
「次ね」
こう話してだった、二人は。
それぞれが飲んでいるカクテルを飲み終えると店を後にした、そのうえで租界地だった
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