第二章
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「どうかしら」
「今日は月曜だろ」
「ああ、野球の試合ないわね」
「だからな」
「観ないのね」
「それにな」
ここでだ、彼は。
眉を曇らせてだ、私にビールを一口飲みつつ言った。
「最近ベイスターズ弱いからな」
「だからっていうのね」
「ああ、野球はな」
「観ないのね」
「それじゃあな」
「まあそう言うとね」
私も彼のその言葉に応えて言った。
「私もね」
「ライオンズだったよな」
「強かったけれどね、昔は」
それこそ毎年日本一になっていた、その都度西武百貨店がバーゲンで買いものを楽しんでいた。
「今はね」
「Bクラスか」
「時々よ」
本当に時々だ、彼の前の席に座ってぼやいた。
「生憎ね」
「日本一もな」
「弱くなったわ、ライオンズ」
「昔は鬼みたいに強かったのにな」
「ええ、本当にね」
「それでもこっちよりましだろ」
彼はまた言った。
「ベイスターズよりはな」
「今年の、っていうのね」
「最初は強かったのにな」
今シーズンの話をするのだった。
「それがな」
「まあそれを言ったらね」
「仕方ないっていうんだな」
「月曜野球がないのならね」
「他の番組観るか」
「っていっても」
ここで私はぼやいた。
「面白い番組ないわね」
「最近な」
「何もないわね」
「変な芸人適当に出して喋らせてるだけの」
「手を抜いたのばかりね」
「報道番組嘘ばかりだしな」
「あんなの観たら」
それこそとだ、私は彼に言った。
「かえって悪いわよ」
「頭にな」
「そうよね」
「ドラマかアニメしかないな」
観るような番組はだ。
「それこそ」
「そうよね」
「ああ、本当にな」
彼はまた私に言った。
「じゃあゲームして寝るか」
「お風呂入った?」
「あっ、まだだ」
「じゃあ一緒に入りましょう」
こう言って彼の手を取って一緒にお風呂に入った、結婚前からそうしているから。
結婚して二年経つと私は妊娠してそれから十ヶ月で男の子を産んだ。元気な男の子ですくすくと育っていった。
その子が一歳になった時にだ、彼は。
その子に服をプレゼントしたけれど。
その服を見てだ、私は彼にすぐに言った。
「何、それ」
「シャツよ、ティーシャツ」
「それはわかるわよ」
見てとだ、また彼に言った。
「すぐにね」
「じゃあいいだろ」
「自分の息子にもなの?」
「ああ、着るものはな」
「ストライブっていうのね」
「だっていいからな」
見れば黄色と白の縦縞だ、そのストライブのティーシャツだった。
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