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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百九十三話 権謀の人
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か?
『ローエングラム伯、卿の別働隊指揮官としての権限を剥奪します。ワーレン提督、その身を拘束しオーディンへ送ってください。オーベルシュタイン准将も同じです』
「はっ」
「ローエングラム伯とオーベルシュタイン准将をとりあえず独房に運べ」
「はっ」
「待て、姉上はどうなる、姉上は」
グリューネワルト伯爵夫人がどうなるか? 言うまでも無い事だ。大逆罪に絡んだとなれば、死罪は免れない……。
「姉上は関係ない、姉上を巻き込むのは止めろ! 姉上は関係ない」
ローエングラム伯が身を捩って訴えている。
『ローエングラム伯、野心を持つなとは言いませんし、叛意を持つなとも私は言いません。しかし、事破れたときの覚悟も持って欲しいですね。そうでなければ見苦しいだけです。……子供の遊びじゃない!』
「……」
司令長官が眉を寄せ、不愉快そうに言い捨てた。
ローエングラム伯とオーベルシュタインが兵達に引き立てられていく。ローエングラム伯が何度もグリューネワルト伯爵夫人の無実を訴えている。なんとも後味が悪い事だ。
『シュタインメッツ少将』
「はっ」
『これ以後は司令官代理として艦隊を率いてください。卿の力量なら難しくは無いでしょう、期待しています。各分艦隊司令官もシュタインメッツ司令官代理を助け、任務を果たしてください』
「はっ、必ずご期待に添います」
『それと別働隊の総指揮はルッツ提督に御願いします。いきなりの事で大変かもしれませんが宜しく御願いします』
『はっ』
ルッツ提督の顔が緊張に強張った。大軍を率いるのは武人の本懐だがルッツ提督にとっては決して喜べる状況ではないだろう。俺がその立場なら頭を抱える所だ。だが先任であるし能力も有る。逃げる事は許されない。
『フロイライン・マリーンドルフ、貴女はルッツ提督の所に行ってください。辺境星域平定のため、貴女の見識を役立ててください。よろしいですね』
「承知しました」
『今回の事はあくまでローエングラム伯、オーベルシュタイン准将が行った事です。別働隊には関係有りません。動揺することなく辺境星域の平定に邁進して下さい』
「はっ」
『では、後は頼みます』
司令長官が敬礼をした、俺達も慌てて敬礼を返す。司令長官は微かに頷くと礼を解いた。
俺達が礼を解くと同時にスクリーンから司令長官の姿が消える。レンテンベルク要塞との通信が切れたのだろう。周囲を見ると皆疲れたような表情をしていた。隣にいるミュラーが大きな溜息を吐く。俺も溜息を吐きたい気分だよ、ミュラー……。
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