第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#16
PHANTOM BLOOD NIGHTMARE[ 〜Ancient Dragon〜
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【1】
異界の戦場を駆け抜ける中で、歴戦の英雄は5つの光が立ち上るのを視た。
その光は、不可思議な文字と図形を鏤めながら街の中心部へと集まっていく。
戦闘の思考。
嘗て生物進化の究極点にまで昇り詰めた存在を、
『神』 さえも欺いた頭脳が老戦士の内で急速に可動し始めた。
(むう、あの光……シャナやアラストールの起こしたモノではないな。
先程光の集まっていった場所から凄まじい地響きが断続的に起こっていたが、
ソレがなくなった瞬間にあの 「柱」 が出現した。
おそらく承太郎とシャナが優勢に戦いを進め、
業を煮やした敵が発動させた『切り札』 といったところだろう)
現場を一瞥すらしていないのに、半世紀以上昔、
戦闘の潮流で磨かれし悪魔じみた嗅覚が状況を明確に解析する。
シャナの言った事に従い船着き場から
南西の方角へ走っていたジョセフはそこで足を止め、
たくわえた顎髭を一度なぞった。
(もうかれこれ10分以上は走っておるが、
『スタンド使い』 にも “紅世の徒” にも出会さんの。
ワシをただのジジイだと思ってナメておるのか、
ソレとも 「別の理由」 があるのか……)
顔を上げたジョセフは消えた光の柱、
その内で一番近距離の位置を見据え決断を下した。
(ならばいっそ、こちらから奇襲を掛けてやるか……?
5つ全部は骨が折れそうだが人混みに紛れて動けぬ人間のフリをすれば
目立たぬだろうし……)
状況の推移から陽動の可能性は低いと視たジョセフは、
(それなら最初からもっと目立つ形にするだろう)
老練なる策略家としての眼光をギラつかせる。
( 『切り札』 で在る以上、
ソレが一つでも破壊されれば敵にも動揺が走るじゃろうし、
その隙を突けば一気呵成に全員が勝利する事も不可能ではない。
そしてそうすれば……)
意図しなくても紡がれる功利的な策略とは別に、
戦闘とは全く関係のない想像もまたむくむくと膨れあがった。
「スゴイ!! やっぱりジョセフは頼りになるわッ!」
「それでこそ我が盟友よ」
「正直ジョースターさんがいなかったらどうなっていたか」
「やる時はやってくれるよなぁ〜」
「マスター、流石であります」
「誰だと想ってンだ……オレのジジイだぜ……」
シャナとヴィルヘルミナに勝利の美酒を注いで貰いながら、
万雷の称賛にいやいやと頭を掻く脳内の映像が、
老人に幸福な時間をもたらした。
「ぃよお〜し! 待っておれ可愛い孫達よ!
今このジョセフ・ジョースターが、敵の牙城を跡形もなく粉砕してくれる!!」
みるみる内に臨界点を越えたモチヴェーションと共に、
妙にハイになった声をあげたジョセフは
意気揚々と目的の方角に足を向ける。
そこ、に。
「待て。そう
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