第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#16
PHANTOM BLOOD NIGHTMARE[ 〜Ancient Dragon〜
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簡単にコトを成されては、こちらも立つ背がない」
苦みのある深い声が、ジョセフを呼び止めた。
己の前方、15メートル先。
一体いつからソコにいたのか(妙な夢想に耽っていた事は理由から外された)
千人の群衆に紛れていても絶対気づくという
重厚なる雰囲気を以てその男はいた。
無造作に分かれた灰色の長髪に切れ長の瞳、
歳は40前後といった所だろうか、
熱帯にも関わらず年季の入ったトレンチコートを纏い
縫い目の強いスラックスを履いている。
端整な顔立ちだが体躯は長身のジョセフを見下ろす程に大きく、
引き絞られた上に積み重ねられた筋肉がインナー越しでも屈強に迫る。
「お主、は?」
「礼を失するが、名乗るかどうかは貴殿の存在を見極めてからにさせて貰おう。
いずれにせよ、この先の “ピニオン” に近づく事、罷りならぬ」
「ぴにおん?」
「死にゆく者に語る必要なし!!」
言うが早いか、名も知らぬ男は足下のコンクリートを大きく陥没させ
巨躯に見合わぬスピードでジョセフに迫った。
黒いレザーグラブの中で硬められた、鋼鉄のような右拳が唸りを上げ
一直線に射出される。
ガアァッッッグオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォ
――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!
バックステップと同時に歴戦の反射神経で間一髪避けたジョセフの背後で、
凄まじい爆音が轟いた。
鈍い光沢のスティール製の柵も真新しい4階建てのアパートが、
夥しい亀裂を壁面に走らせ半壊した。
(な、なんというパワーじゃ……!
たったの一撃でここまでの破壊力ッ!
承太郎のスター・プラチナに匹敵、否、ソレ以上かもしれん!!)
脇に回り込みつつも、もし直撃していたらと寒気を覚えるジョセフに、
灰髪の男がトレンチコートを揺らしながら襲い掛かる。
威力は凄まじいが単なる打拳なので躱し続ける事は不可能に等しく、
近距離型のスタンドでもない限り防御は出来ない。
これだけの思考を刹那の間に認識したジョセフは、
逆に相手に向かっていき構えられた鉄拳の前に身を晒した。
「……ッ!」
相手は意外な行動に虚を突かれたが、
動揺の色も微かにそのまま打撃を射出する。
しかしその脇の下を、構えによって生まれたスペースに
ジョセフの躯が前転して潜り込み後方へとすり抜けた。
「やれやれ、問答無用と言った所か。
無益な争いは避けたいが仕方ないのう」
そのまま転がりながら体勢を立て直したジョセフは、
コートをはためかせながら三度向かってくる男に右腕を突き出した。
『隠 者 の 紫ッッ!!』
空間を歪めるような音と共
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