二十七話:試練
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だが、ぐだ男は彼女の事情など知らないとばかりに、手を差し出す。
「べ、別に私じゃなくてもいいでしょ」
『君じゃないとダメなんだ!』
「そ、そんなこと言われても……」
彼女はどこまでも真っすぐな瞳を見られずに、目を逸らす。
それでも、彼は彼女を見つめ続ける。
やがて、耐えきれなくなったのか、彼女は小さく溜息を吐く。
「わかったわよ……早く終わらせなさい」
『ありがとう。大切にするよ』
「…? ええ、丁重に扱いなさい」
一体、どんなお題で自分が選ばれたのか知らずに首を傾げるジャンヌ・オルタ。
しかし、内容を知るダヴィンチちゃん等は、ニヤニヤとその様子を見つめるのであった。
【さあ、ゴールに向かわないとヘラクレス君が追い付いてくるよ】
『急ごう』
「あ…! 急に手をつないんでじゃないわよ…ッ」
『嫌だった?』
「……嫌じゃないわよ。ただ……ああ、もう! ほら、行くわよ!!」
急につながれた手に戸惑い、叫んでしまうが嫌ではないのか振り払うことはしない。
そのまま顔を赤らめる彼女の様子に、思わずドギマギしてしまいながら彼は走り出す。
だが、そのムードを破壊するように、後ろから猛烈な追い上げが来る。
「え、えーと。やっちゃえ、バーサーカーさん!」
「■■■■■■■■■!!」
【おーっと! ヘラクレス選手、イリヤちゃんを肩に乗せて爆走してるぞー!!】
切嗣の説得(物理)が終わり、再スタートしたヘラクレスが猛然と迫ってくる。
心なしか、肩にイリヤを乗せた方が速くなっているのは気のせいではないだろう。
「ちょ、追いつかれるわよ、あんた!」
『こうなったら―――俺もジャンヌ・オルタを背負う!』
「は? あんた、正気……て、キャッ!?」
ヘラクレスに対抗するように、共に走っていたジャンヌ・オルタを背負い、速度を上げる。
背中に当たる柔らかな存在に、意識が行きそうになるが、煩悩を打ち消すように足を動かす。
そして―――ゴールテープを切る。
【ゴール!! ほんの僅かな差でぐだ男君の勝利ーっ!!】
『はぁ…はぁ…殺されるかと思ったけど何とか勝てた』
「いいから、とっとと下ろしなさい!」
『いた!? 分かったから叩かないで!』
勝利の余韻に浸る間もなく、喧嘩を始める二人。
それだけであればいつもの光景であったが、今回は爆弾があった。
ぐだ男が選手の控え場所に向かった後に、彼女はお題の書かれた紙が落ちていることに気づく。
「大体、私が呼ばれるってどんなお題だったのよ。えーと、意中のじょせ…い…?」
お題の書かれた紙を見て、訳が分からずに固まるジャンヌ・オルタ。
次第に内容を理解していき、ゆでだこのように顔を赤くして
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