1部
1章
第1話 武偵殺し
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「助けに来たよ。三劔颯汰君」
ここは神奈川県の南方、太平洋に浮かぶ人工島高波島。半径3kmとさほど大きくないこの島の中で俺は事件に巻き込まれた
住良木奏と名乗った少女の突然の出現に驚くと同時に、何故自分の名を知っているのかと疑問に思ったが考える余地はなかった。
「立って三劔君。今ここでアイツを捕まえるわよ」
アイツを" 捕まえる"だって?誰だか分かって言ってるのか?相手は「武偵殺し」だぞ!?
「お前、本気でアイツを捕まえる気なのか?」
即答だった。
「目の前に凶悪犯がいるのにそれを見過ごしていいわけないじゃない」
「それに相手は今足を失ってる。これほどのチャンスはないわ」
確かに住良木の言う通りだった。車が使えない以上逃げられない。仮にあのドライバーが動かせたとしてもこちらの車がそれを防ぐ。
完全にこちらの方が有利な状況だった。
ダレイオスに目をやるといかにも いつまでゴチャゴチャ話してんだとでも言わんばかりの顔をしていた。
彼に逃げるという考えはないようだ。
「やるしか…ないのか」
という俺の呟きを戦闘開始の合図と捉えたのか真剣な顔をし
「よし、行くよ!」
この言葉が吐かれた瞬間、彼女と共に動き始めた。
※
颯汰達は左右に別れて攻撃を開始したがダレイオスはそれを悠々と躱し、受け流していく。並大抵の戦闘では身につかないと思われるその動きに翻弄されていた。
ダレイオスは困惑した。颯汰は危険度Sランクに指定されていたのだ。
『 温い』
そう呟いてしまうくらいに颯汰の腕はSランクには遠すぎたのだ。
…B、良くてAか…女の方は筋がいい多分Aだな。
相手の力量を測っていたダレイオスだが妙な違和感を感じていた。Sランクというのがどうにも腑に落ちない。
彼奴、何を隠している
そう感じ取ったダレイオスは本気を出そうとしないソウタに半ば怒り混じりに問いただした
「貴様、何を出し惜しみしている。」
勿論颯汰は全力だ。だが、隠しているかいないかと聞かれれば「隠している」
しかし「ソレ」は使えない。正確に言うと使いたくない
それでも使わなければならない。それは颯汰も理解している。だが、 使いたくないという心が邪魔をする。
アレを使うしかないのか。他に方法はないのか。これを使ったらまた…
そんなことを考えながら横目に彼女の顔を見た
奏はそんな颯汰の心情を知って知らずか優しく微笑み
「大丈夫、誰も死んだりしない。私が死なせない、だから使って」
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