第十九話 聖堂にてその九
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「マリー様を遠ざけていても」
「それでもですね」
「はい、害されようとはです」
「それはないですね」
「私はそう見ていますが」
「私もです」
ロドネイ公はキャスリング卿に話した。
「あの方は決してです」
「マリー様をですね」
「害されようとは思っていないです」
「幸いなことに」
「王族ですから身辺は厳重にです」
まさにというのだ。
「護らねばなりませんが」
「それでもですね」
「マイラ様ご自身にはです」
「そうしたお考えはない」
「あの方は」
そうだというのだ。
「決して」
「それが幸いですね」
まさにと言うのだった。
「お嫌いではない」
「決して」
「このことは」
こうしたことをだ、マリーの側近達は話していた。マイラの側近達も同じであったがその話していることは違っていた。
司教は難しい顔でだ、オズワルド公に話していた。
「異端審問の者達ですが」
「この国に来ている」
「彼等の中でもです」
「厄介な者達ばかりですか」
「はい」
実際にというのだ。
「これはです」
「抑えることにですか」
「苦労しそうです」
「法皇庁が、ですか」
「あえて送り込んできました」
そうだったというのだ。
「まさかです」
「厄介な者達ばかりとは」
「思っていませんでした、ですが」
「それでもですか」
「はい」
こう言うのだった。
「誰であろうともです」
「抑えてですね」
「勝手はさせません」
オズワルド公に対して約束した。
「必ず」
「では」
「はい、信仰と外の政はです」
この二つはというのだ。
「私が王女をお助けします」
「では私は」
「公爵は軍と」
「そして内ですね」
「そちらの政をお願いします」
「わかりました」
確かな声でだ、オズワルド公は司教に答えた。
「それでは」
「二人で王女を支えましょう」
「王位に就かれても」
「是非、そしてです」
「この国の教えは」
「旧教に戻ります」
「しかしですね」
まただ、オズワルド公は司教に問うた。
「法皇庁とは」
「過度には近寄らず」
「独自で、ですね」
「動いていきましょう」
「法皇庁の手駒にはならない」
「法皇庁は法皇庁のことしか考えていません」
つまり自分達のことしかというのだ。
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