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Three Roses
第十九話 聖堂にてその八

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 彼等は今は動かずだった、マイラとマリーを見守っているだけだった。二人は歴代の王の陵墓の前に跪いてだった。
 祈りを捧げていく、そして。
 父王、弟であった前王の陵墓にも祈りを捧げる。その祈りを見てだった。ロドネイ公はその二人を見て言ったのだった。
「こうして観るとだ」
「はい、お二方はです」
「どちらの方もです」
「お見事です」
 大司教とテューダー卿、キャスリング卿も言う。
「祈りには人が出るといいますが」
「マリー様もマイラ様もです」
「見事な祈りです」
 二人も答える。
「お二方共」
「実に」
「そうです、祈りにこそです」
 まさにとだ、大司教も言う。
「人が出ますので」
「無念です」
 ここでロドネイ公は瞑目する様にしてこうも言ったのだった。
「非常に」
「と、いいますと」
「それは一体」
「どういうことですか」
「はい、お二方が疎遠であることがです」
 マリーとマイラがというのだ。
「間に溝があることが」
「若しもですね」
「お二方が手を携え合っているのなら」
「この国にとって大いな力になったのですね」
「そうだったというのに」
 それがというのだ。
「それがです」
「溝があり」
「それで、ですね」
「手を携え合えないことが」
「そう思いました」
 まさにと言うのだった。
「今しがた」
「そうですか」
「言われてみればそうですね」
「そのことを思いますと」
 大司教、デューダー卿、キャスリング卿も頷いた、ロドネイ公の言葉に。
「その通りですね」
「お二方が手を携えあえば」
「どれだけ素晴らしいか」
「何とかならないのか」
 こうもだ、ロドネイ公は言った。
「そうも思います」
「ではです」
 大司教はこうロドネイ公に話した。
「これからもです」
「さらにですね」
「お二方の親睦を深め合い」
「そして」
「溝をなくし」
 そのうえでというのだ。
「手をです」
「携え合う」
「そうした関係にしていきましょう」
「是非ですね」
「はい」
 こう言うのだった、そして。
 デューダー卿もだ、こう言ったのだった。
「あちらとお話していきましょう」
「そのうえで」
「はい、疎遠な間柄をです」
「それをですね」
「少しずつでもです」
「縮めていくのですね」
「そうしていきましょう」
 こう言うのだった。
「ここは」
「どうもマイラ様はです」
 キャスリング卿が言うにはだった。
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