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赤翔玄-剣を握りし果てに-
第1話 努力-諦めろと俺の心が囁く-
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いてないじゃ、自覚せよ」
「っ――それは……この私に喧嘩を売っていると捉えていいのか?」
「喧嘩? なんの事じゃ、儂は事実を述べただけじゃぞ?」
「良い度胸だ、祭! 今から問題のあった調練場に私と来い、私の強さをお前に……“丁寧に”教えてやるぞ?」
「何を馬鹿な事をお主は“格闘術”、儂は“弓術”じゃ。どう考えても儂が不利ではないか?」
「ほぅ、黄蓋殿は素手の人間に弓を持ってしても勝てないと……成程、成程、道理で黄蓋隊の弓兵は“腰抜け”共が多いと思った。可哀想な兵士達だ、率いる大将が“腰抜け”では仕方がないな、うん?」
「――――その勝負受けて立とう……しかし、程普隊の歩兵も大将に似て、低能の癖に偉そうに人に物を語る“馬鹿丸出し”の“下品”な者ばかりじゃが――それも仕方がないのぅ……何せ、部下は大将に似るんじゃからの?」

 二人は問題の起こった調練場に向かう際に、お互いに皮肉めいた罵り合いをしながらゆっくりと歩いて行った。お互いに、これでもかというくらいに額に青筋を浮かべて。





「おいおい……黄公覆様と程徳謀様が決闘と言う名の大喧嘩をしておられるぞ。俺達は御二人を止めなくてもよいものか?」
「さぁ――ただ、俺達は厳密に言うと御二人の直属の兵士ではないからなぁ……翔玄はどう思う?」
「……一応、俺達の調練を担当されていた程徳謀殿が、この場を去られる際に調練予定終了時刻まで自主訓練であると言われた筈だから、もう解散してもいいじゃないか? 調練予定終了時刻は過ぎているし……俺、腹が減ったから先に街に行く」
「成程、成程、……今から翔玄が昼飯を食いに街に行くってよ! ここは街一番の美人給仕のいる“雛罌粟”に行かないか?」

 街一番の美人給仕のいる“ひなげし”か……変わった名前だな。この街に来て、暫く経つけど知らないな、そんな店、街に在ったか?
 まぁ、料理の値段が安ければいいけど……。

「そりゃいい、少ない給金を突っ込むなら、あの店以外は在り得なねぇ!」
「よしっ、雛罌粟に突撃じゃ!」
「「「「「「「「「応っ!」」」」」」」」」
「訓練中よりも元気じゃないか、皆…………気にしたら負けか」

 俺は同僚に腕を引っ張られ、街一番の美人給仕がいるという食事処“雛罌粟”へ向かう事になった。俺は一人でゆっくりと落ち着て食べたいんだけどなぁ……。
 俺の思いは皆に届く事は無かった。

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