第1話 努力-諦めろと俺の心が囁く-
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方向に成長しておるではないか」
「奴は若過ぎる……良い意味でも、悪い意味でも……“堅”も何を考えているのやら……。そう言えば、奴に剣のイロハを教えてやったのは、祭、お前だろう?」
「……何故、それをお主が知っているのじゃ?」
「この前の酒の席でベロンベロンに酔っぱらった“雅”がな、「祭がぁ、“例の子”を自分の隊に引き抜こうと点数稼ぎしている所をね〜偶然だけど〜この目で〜バッチリ! みたのよ〜本当なのよ〜」って、最低の絡み酒でな」
程普が“雅”、韓当の口調を真似て、前回の酒の席で何を言っていたのか、黄蓋に上手く再現して見せた。しかし、黄蓋は程普の“雅”の真似口調に不快感を示す様に眉間にしわを寄せて不機嫌そうに呟く様に言った。
「…………心外じゃな、別に点数稼ぎをしておる訳ではないぞ。たまたま、暇を持て余している所に堂々と下手糞な剣捌きを披露している“あやつ”がおった、理由はそれだけで十分じゃろ。何せ、儂等は“武人”なのだからな」
「はははっ、違いない。まぁ、私は“雅”に教えて貰わなくとも、奴が剣の構え方を変えた日は私が調練を担当していたんだ。誰が教えたか一発で分かったよ。あぁ……ありゃ“祭”だってな」
「ほぅ」
「左手を前に力強く突き出し、矢を番える様に剣を持った右腕を下げ、初剣、“突き”を連想させる”変幻自在の剣”。格闘術をアレに少し盛り込めば更に化けるな。少なくとも一騎打ちでは凄まじい強さを誇るだろう……が、あの剣の構えはかなり使い手を選ぶ、奴には少し難しいのではないか?」
「まぁ、最初は儂もあやつに剣の型を一通り教えてから、やはり、少し荷が重いと思ったのじゃが、あやつは儂の前で行き成り“腕立て伏せ”を急に始めよったのじゃ」
「成程――――奴の我流は元々“一撃必殺の剛の両手剣”。祭の教えた剣の型は“変幻自在の片手高速剣”……その違いを理解し、何が自分に必要か考えた後で、その場で“腕立て伏せ”か……やはり奴の考える事は“凡人”が考える事と、一味も、二味も違うな」
「うむ、儂の言葉を素直に聞き入れて、馬鹿正直に“素直な努力”を始めおる」
「ふっ、面白い……祭が剣術を教えたのならば、私は格闘術を奴に教えてやるとするかな!」
程普は右肩を回して意気揚揚と黄蓋に言った。それに対し、黄蓋は渋い顔で程普に言葉を返した。
「――――あやつは孫呉において、既に貴重な存在だ。日頃の憂さ晴らしの相手にするでないぞ?」
「失礼なっ、私はっ!」
「昔、祖茂……“灯”が儂に泣きついて来たわ。「程徳謀は空いた時間に格闘術を私に教えるという名目で、訓練事故に見せかけ私を撲殺しようと目論んでいます。助けて下さい!」と深刻な顔付きでな。お主は誰かに何かを教えるのに熱が入り過ぎる上に、力加減がド下手糞じゃ。お主は誰かにものを教える事にとんと向
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