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赤翔玄-剣を握りし果てに-
第1話 努力-諦めろと俺の心が囁く-
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それどころか、「今までよくやった」と言ってくれるだろう。でも、俺は見栄っ張りなんだ、格好つけなんだ、同情の言葉一つの為に手ぶらで村に帰る事は出来ないんだ。
 俺はあいつ等よりも恵まれた環境で過ごした、そして、何よりも“運”が良い。それを自覚している、だから、俺は――俺自身の“諦めで”村に帰る事なんて在り得ない、死に物狂いで努力……努力……努力の果てに……お前が言う、現実に存在する“越えられない壁”にぶち当たって、瞬殺されて“棺桶”になって村に帰る方が良い。
 何せ、俺は“剣”を握ったんだ。若くても弱くても現実を知らなくても、心構えだけは立派な“武人”の一人なんだぜ。

 じゃあな、次はいつ会うだろうな。出来れば――夢が叶う、その時まで会いたくはない。けど、お前が出て来たら、また、ぶっ飛ばしてやるよ。

 そろそろ、下ろしてくれないかな……何事かと、程徳謀殿が鬼の形相でこちらの様子を遠目に眺めているんだ。まぁ、凄く気分が良いから、どうでもいいか……。後の事は後で考えよう……。





 調練場で馬鹿騒ぎしているとの報告を受けた程普は調練場の兵士達の監視役であった女中を呼び寄せ、彼女の報告を聞いた。

「あの馬鹿者共がっ、自主訓練も満足に行えないとは実に嘆かわしいぞ! おい、お前、あの胴上げされている小僧は誰だ!」
「こ、項翔玄です」
「項翔玄だとっ……確かなのか!」
「は、はい……」
「そうか――――奴も私が調練場に居なければサボる愚か者の一人だったのか……ほぅ、この私が目を掛けていただけに……許せん! 奴には、今から私の“特別訓練”をたっぷりと味合わせてやる!」
「……そ、その程徳謀様!」
「何だ!」
「あ、あのっ! 素人の私が見ても項翔玄の自主訓練は素晴らしいものでした。皆は自らの訓練も忘れる程に項翔玄の鬼気迫る気迫の籠った訓練模様に魅了されたのです! 私も気付けば、洗濯物を片手に必死に彼を応援していました、ほ、本当です! 皆は最後までやり遂げた項翔玄を自分の事の様に褒め称えて胴上げしているだけです!」
「――――だが、それが事実だとしても罰を与えなければ他の兵士達に示しが……」

 必死の形相で女中が程普に説明をするも、程普は女中の話を聞いて納得した上で調練場にいる兵士達に罰を与える、と女中に言いかけると程普の後ろから、黄蓋が顔を覗かせて言った。

「お主の負けじゃよ。あの馬鹿騒ぎをしている兵士が来たのなら、兎も角、お主の間諜である女中がそう言っているんだ。ここは素直に諦めよ」
「むぅ……まぁ、今回はお前の顔に免じて不問にしよう。誠に……不・本・意だがな!」
「そんな大きな声で言わんでも聞こえとるよ。まぁ、しかし、面白い男よ……項翔玄という男は……“許昌の乱”では一時どうなるかと儂は思ったが、良い
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