第1話 努力-諦めろと俺の心が囁く-
[1/6]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
最近、言葉使いが悪いと、とある方に額に拳骨を貰って注意されたので上手く出来るか分からないがやってみる事にした。
そう最近の事と言えば孫文台様の長女である孫伯符様の姿をよく外で見掛ける様になったと感じる。
まぁ、この際、それはいいとして――。
「百九十七…………百九十八…………百九十九…………二百…………」
今日の俺達の部隊の調練を担当していた“鬼教官”として、主に新兵から恐れられている程徳謀様が、”急な用向き”との事で調練場を後にし調練終了予定時刻まで自主訓練となっていた。
しかし、やはり……と言うのか、新兵達は程徳謀様が調練場から去り、その姿が見えなくなると一斉に地面に腰を下ろして休憩している。
それから何人かの古参の兵士達が新兵達に注意するが新兵達は、まるで言う事を聞かない。「足が鉛の様に重たくて動けない」と泣き言を言うものや、「死ぬ……」と脱水症状一歩手前の苦しそうな表情で天を仰いでいる。後者は兎も角、前者はどうかと思うが……”終わったな”、苦しくて自主訓練をサボっている新兵達には可哀想だが、あそこで洗濯物を干している女中が程徳謀様の手の者だ。サボっている奴等は、皆、彼女に密告されて後で追加訓練という名目で、とても悲惨な目に合う。
「二百三十…………二百三十一…………二百三十二…………二百三十三…………」
以前、俺達孫呉の兵士の間でとても不真面目で有名だったある兵士が追加訓練を受けて“一週間”も寝台の上で生活する破目になり、その間に“血の混じった尿”を出したと聞いた。また、その兵士が毎夜、毎夜、「お母さ〜ん!」と獣の様に泣き叫んだとも聞いた。
何にしても恐ろしい話だ。
「二百五十…………二百五十一…………二百五十二…………二百五十三…………」
何にしても自主訓練をサボる事は感心出来る事ではない。それが自らの死を招く要因になり、それが仲間の命を奪う結果に繋がるかも知れない。また、戦場で敵と接敵した際に、訓練をサボる者は相手に異常な恐れを抱くだろう。何故なら、相手に勝てる”自信”と”根拠”が自分にないからだ。
俺は訓練をサボらない。
それどころか人の倍の訓練量をこなす、これは自慢ではない。それには俺が戦場で死にたくないという気持ち以上に自分の強さに全く自信がないからだ。
上には上がいるんだ、その良い例が……孫文台様の側近の“四将”だ。
あの人達の背中は遠い、あまりにも遠い……遠くからだと曖昧で見えないかも知れない、でも、俺は近くで見て嫌と思うほどに知った。あの誰にも追随を許さない、味方ながら恐ろしいとも感じる、秀でた“才能”――俺にある“才能”は何かと聞かれれば間違いなく、好きな事なら一生懸命に“努力”出来る事だと思う。他の兵士達と違いがあるとすればそれだけだと俺は思う。
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ