暁 〜小説投稿サイト〜
フロンティアを駆け抜けて
試される運と実力
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と見分けがつかないが。

「そうくるか……なら見せてやるぜ、小野道風の本気!さあ大声でこいこいだ!」
「コゲコゲ!!」

ニョロトノが使うのは技『輪唱』とハイパーボイスの合わせ技。フィールド全体を包む大声に分身など関係なくダメージを受ける。

「こいこい!!」
「ゲロゲロ!!」
「ラティ、竜の波動!」

竜の力を持つ銀色の波動がニョロトノを打つが、構わずニョロトノとゴコウは大声を上げ続ける。どんどん声量が大きくなり、受けるダメージが増えていく。

「ラティ、自己さい――」
「こいこい!!!」
「ゲコゲコ!!!」

ついにはジェムの指示がかき消され、部屋中を反響する音波がラティアスを全方位から叩き、苦しめる。


「―――……」
「こいこーい!!!!」
「げろげーろ!!!!」


指示を受けることのできないラティアスに抵抗のすべはなく。最大級の音波が放たれ、それをまともに受けて地に堕ちる。メガシンカが解け、その体がぐったりと動かなくなった。ジェムもメガシンカによる同調で体力を使い果たしたことと敗北した虚無感から、ぺたり、と膝をつく。


「負け……た……」


瞳が潤み、雨に交じってもはっきりとわかるほどの大粒の涙が頬を濡らす。

「ごめんなさいお父様……私……また負けちゃった……」

ゴコウは言った。最初に言ったが俺の元に最初にたどり着いただけでも大したもんだ。親父さんも誇りに思うはずだ、と。だがジェムには聞こえていなかった。もし聞こえていたとしても、ジェムの求めるのは完璧な父の娘として同じように立派に活躍することだ。ジェムは父親に強すぎる憧れとその娘であるという持たなくてもいい責任感を持つがゆえに、負ける自分が許せなかった。

「う……ううう、う……」

少女の嗚咽が響き続ける。それは先の大声とは違う、静かでも聞く人の心を痛める悲哀と悔しさに満ちていた。それが最初のフロンティアブレーンとの戦いの結末だった。


「もっと……もっともっと、強くならなきゃ……誰にも二度と負けないくらい……強く!!」
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