暁 〜小説投稿サイト〜
フロンティアを駆け抜けて
試される運と実力
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ボールの効果はただ霧で包むだけじゃないわ。この攻撃を受けた相手の特攻を下げられる!」

全方位に放たれた虫特有の音波は、霧を浸透していくごとに威力が下がる。ラティアスに届いたのは小さな羽音程度だった。

「いくよラティ、波乗り!」
「ほう……!桐に鳳凰、熱風!」

バトルフィールドに念動力で疑似的に再現した大波が発生し、ラティアスがそれに乗る。ウルガモスが炎の羽根で爆風を巻き起こして対抗するが、ミストボールの効果で威力を弱められ、怒涛がウルガモスを飲み込んだ。

「やるな、嬢ちゃん。大したもんだ」
「はあ、はあ……まだまだよ。このまま一気に勝つ!ラティ、自己再生!」

メガシンカを使ったことで体力を使ったのか、肩で息をしているジェムにゴコウは素直な賞賛をおくる。はっきり言って、ルナトーンで決めれると思っていたのがウルガモスまで倒されている。


「だが……こいつはどうかな。さあこいこい俺の切り札、小野道風!!」
「ケロ!!」


昔の歌人の名をつけられたニョロトノが姿を現す。どうやらこのポケモンがゴコウの最も信頼する手持ちらしい。その姿からは普通のニョロトノとは違い、威風堂々としていて正に王者の風格が感じられた。それを現すように、室内だというのにぽつぽつと雨が降り始める。

「これは……?」
「これが俺の小野道風の特性『雨降らし』よ。嬢ちゃんもこいつで涙を洗い流したらどうだ?なんてな」

冗談めかしたその言葉からは、ジェムと違って余裕を感じた。自分が負けるはずがないという強者の余裕だ。

「ラティ、もう一回ミストボール!」
「小野道風、バブル光線だ!」

メガラティアスの霧の球体が弾ける前に、泡の光線が包み込んで封じ込める。ミストボールは本来の効力を発揮できずに終わった。

「ミストボールが……だったら、サイコキネシスよ!」
「こっちもサイコキネシスだ!」

お互いの念動力がぶつかり合い、打ち消し合う。ゴコウはにやりと笑った。

(勝つことだけを考えるなら滅びの歌で相討ちに持ち込めば俺のポケモンはまだ一体残ってるからそれで終わりだが……この嬢ちゃんにはもっと楽しむことを教えなきゃな)

彼の目には目の前の少女は勝つことに――もっと厳密に言うなら、勝者であることに執着しているように見えた。そういうトレーナーは一定数いるし別にゴコウはその考え方を否定するつもりはないが、この少女は自分のためではなく父のためにそれを選んでいるように見えた。それは彼女のためにならないし、何より親本人だって望んでいないだろうと考える。

「さあ嬢ちゃん、次は何を見せてくれるんだ?」
「影分身!」

ラティアスの体が分身していく。超能力によってつくられた幻影は、本物
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