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フロンティアを駆け抜けて
試される運と実力
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ナトーンは逃げようとした先に念力を放つ。再びマリルリの体が念力に吹き飛ばされ――マリルリは倒れた。

「う……」
「今度は7割か。……とはいえ、十分だったみてえだな」

これで3匹め。相手も2体目を繰り出してはいるが、1匹目も倒せたとは言い難い。実力の差を感じ、青ざめるジェム。それでも彼女は、諦めない。

「出てきて、クー!噛み砕くよ!」

呼び出すのはクチート。黒い大角を振りかざし、ルナトーンに齧り付いた。ルナトーンの瞳がジロリとクチートを睨み、三度サイコウェーブを放つ――。

「……きたきたきたぜ!これがサイコウェーブのマックスパワーよ!!」
「!!」

ルナトーンの周りに一際強い念動力の波動が発生する。ジェムにもはっきりと感じられるほどのそれは、タイプの相性もクチートの防御力も何も関係なしにクチートを蹂躙し、一撃のもとに沈めた。

「クーまで……一発で……」
「どうやら運は儂に味方してるみたいだな。さあ嬢ちゃん、最後のポケモンを出すかい?」

ゴコウの言い方は、ここで降参してもいいと言っているみたいだった。これ以上やっても勝負は見えていると言いたげだった。それを感じて、ジェムはそのオッドアイの瞳から涙を零し、雫が落ちる。

「嫌だ……私は……負けたくない。私はお父様の娘だから……負けちゃダメなの!!出てきて、ラティ!!」

悔しい。勝ちたい。一矢報いるだけでは満足できない飽くなき勝利への執念が今、ジェムとラティアスを更なる力へと導く。


「シンカして、ラティ!その宝石の如く美しき二色の眼で、今勝利を私の手に!!」
「ひゅううん!!」


ラティアスの体が光に包まれる。光が霧のように散った後現れたのは、赤い体を紫に染め、赤い瞳の片方を蒼く変化させたラティアスの新たな姿だった。

「ほうこいつは……メガシンカか。それも伝説の」
「ラティ、竜の波動!!」

メガラティアスが翼と口から竜の力を込めた波動を打ちだす。その一撃はコスモパワーで守りが強化されたルナトーンをも吹き飛ばし、戦闘不能にした。

「おもしろくなってきたな。さあ……こいこい、桐に鳳凰!」

ゴコウが繰り出すのはウルガモス。虫タイプを持つ相手はラティアスにとって相性はよくないが――。

「火炎放射だ!」
「ラティ、幻惑の霧で包み込んで!」
「ひゅうん!」

メガラティアスがオーロラを固めたような虹色の球体を放つ。それがウルガモスに着弾するとフィールド全体を包み込む大きな霧となった。ラティアスのみが使える技、ミストボールだ。ウルガモスはラティアスの姿を見失い、火炎放射を外す。

「なるほど、良い技だ……だがこいつならどうだ!?桐に鳳凰、虫のさざめき!」
「ミスト
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