ターン59 蹂躙王と暴食の憑依
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神に落とし前つけさせて、この世に地獄を持ってこれさえすれば手段は問わんよ』
「そんな、無茶苦茶な!」
『はあ?おい、少しこっち向け』
ここでいきなり髪を掴まれ、無理やり顔を近づけて僕の目を覗き込む先代。まぎれもなく人間の顔、だけどその目は深くて、暗くて、根本的に人間とは異なる種族であることが一目見ただけで本能的に察せられる。
『見たか?これが、俺だ。ダークシグナーだ。こうなった以上、俺らに無茶なんてことあり得ない。そう望むならなんだってできる力を手に入れる代わりに人間であることをやめる、それが俺らが強制的に受けた呪いだ……じゃ、時間切れだ。ああまったく、大将がどうなるのか楽しみだぜ』
その言葉のみを置き土産に、先代の姿が消える。5000年前からいた化け物の最期にしては、意外なほどあっけなかった。と同時に、心の底から先代の言った通りに負の感情が湧きあがる。
「え……あぐ、あ、あああ……!!」
怖い、いやだ、こんなものに飲み込まれたくない。湧き上がる衝動に必死に抵抗しようとするも、それよりも速いスピードでどす黒い怒りが心の中を占めていく。無限にも思える、だけど実際にはほんの1秒もかかっていない戦いはやがて決着を見せた。
……憎い。僕の恩人をあんな悪魔の姿にしたダーク・バルターが憎い。手始めに奴を倒し、その全てを奪ってやろう。モンスターも、ライフも、勝利も、何一つ貴様にくれてやるものはない。
「おいおい、どうしたのかね?サレンダーでもする気かな?」
デッキにカードを戻したままいつまでも動こうとしない僕にしびれを切らしたダーク・バルターの声に、軽く片腕を上げて応える。
ああ、待たせたな。これで終わらせよう、全部。不思議と、どうすればいいのかはわかっていた。あるいは、このカード自体が何らかの形で僕に語りかけていたのかもしれない。まるでそうするのがさも自然なように、白紙だったカードをデッキにかざす。黒みを帯びた濃い紫色の光がカードから放たれ、その光を浴びたデッキもやがて同じ色に光り始める。今や僕の物となった先代の負の感情と宙に浮かぶ隕石の力が共鳴し、その全てがこのカードを通じてデッキに宿される。
やがてすべての力を移し終えた白紙のカードがまず光を失い、その役目を果たしきって灰になって風に消えていく。デッキの光もやがて落ち着き、全てが表面上は元に戻った。
「……リロードの効果で、デッキに戻したのと同じ枚数、つまり3枚のカードを新たに引く」
ああ、やっぱり。そこにあった3枚のカードのうち2枚は、僕のこれまで見たことのないカード。白紙のカードの力により、その全てが書き換えられた新たなデッキ。カードたちが呼んでいるのがわかる、今すぐ俺たちを暴れさせろと。この力と僕の力が組み合わされば、全てを破壊しつ
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