ターン59 蹂躙王と暴食の憑依
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はいい。まったく、面白いもんばっか引っ張り出してくれるぜ大将はよぉ』
「先代!」
『おう、俺だ。まあそんなことより、そのドロー待ちな。そんで今大将が引っ張り出したカード、もーいっぺん見てみなよ』
なぜその声に従おうと思ったのかはわからない。ただ吸い寄せられるようにデッキから一度手を放し、言われたとおり胸ポケットに入れ直した2枚のカードの内の1枚をすっと出して白紙の面を覗き込んだ。
思わずあっと声が漏れる。さっきまで白紙だったはずのそのカードの表面は真っ黒に染まり……と言っても、単に黒塗りされていたというのではない。空間にぽっかり空いた穴を手で持っているかのごとく、カードの向こう側に無限の空間が広がっているように見えたのだ。
「こ、これは……?まさかお前!」
『いんや、こいつは俺じゃねえ。見てみな、あの空を。見えるか、あの隕石がよ?』
スッと天を指差す先代の指した先には確かに赤く輝く、空に尾を引いた状態にもかかわらずそれ以上動くことなくその場所に留まり続ける不思議な隕石らしきものが。なぜだろう、あれを見ているとどうにも不安な気持ちになってくる。
『ややこしい理論はどうせわからねえだろう大将にもわかるように言うとだな、このカードはどうやら扉の役割を果たす力を持っているらしいな。大将の中にいい感じに育ってきた心の闇と、あの隕石の持つ力がうまいこと共鳴し合ってこのカードを媒体にして力が飛び込もうとしてもがいてるってとこか。だがまだ足りねえな、大将が心の闇を解放しない限り、うまくこの扉は開かねえ』
こんな奴の話なんて、聞いちゃいけないのはわかってる。わかってるのに、この話にはどこか引き込まれる所がある。僕がずっと持っていてもカードとして覚醒させることができなかったこの白紙のカードの1枚が、今まさに目覚めようとしている。そのヒントがこの先代の話に隠されている。そう思うと、耳を塞ぐことがどうしてもできなかった。
『だがまあ大将のことだ、自力で扉が開くところまで待ってたらその前にあの低級悪魔に喰われちまうだろうな。だがせっかくできた2代目がこのまま無駄死にするのは俺としても惜しい、そこで俺はひとつ考えた、だったらこの俺が一肌脱げばいいってな』
「な、一体何を……!」
『決まってるだろう、大将。俺がこの世から消えるのさ』
「え……?」
突然の宣言についていけない僕に対し、底意地の悪い笑顔を向ける先代。
『わかってねえなあ。俺の存在が消えさっても、俺がこれまでため込んできた怒りや憎しみはそのまま残る。それを大将にまるっと叩き込めば、いくらへタレの大将でも出力全開ってなもんだ』
「騙されるもんか、何を企んで……!」
『べっつにぃ?そもそも、俺は別に生きてようが生きてまいがどっちでもいいからなぁ。ただあの糞
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