ターン59 蹂躙王と暴食の憑依
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うえで敗北というどん底に突き落とそうということだろう。勝てば見逃すだなんてこれ以上はない餌を目の前にちらつかせておいて希望を膨らませ、その上で叩き潰す。単純ながら効果的で、それでいて本人の負担もさほどではない。
本来ならこんな勝負、受けるべきではない。せめて使い慣れた僕のデッキがあるならまだしも、たった今渡されたばかりの内訳もわからないようなデッキであの三沢相手に善戦したこの悪魔とやり合おうだなんて、普通に考えたらまともな神経持った奴のやることじゃない。
……だけど、賢者さんは僕を助けてくれた恩人なんだ。憑依される最期の瞬間まで僕のことを案じてくれた、そんな人に対してこんな仕打ちをした外道。
『「絶対に生かしておくものか……」だろう?ああそうだ、その調子だ。全部解放して全力で行きな、旦那』
自分の声が二重に聞こえる。いや違う、僕の内側のもうひとつの声……先代ダークシグナーの世界全てに対するどす黒い怒り、闇雲な破壊衝動、もはや起源すらわからなくなったまま膨れ上がった憎しみ、そういったものが僕と同調しつつある。普段だったら何とか抑えようとしたであろうこの感情にも、今回ばかりは身をゆだねたい。
無言でデッキをデュエルディスクにセットし、機械を起動させる。今日は怒りに囚われてはいるが、頭は自分でも驚くほど冴えている。あるいは最初から、チャクチャルさんより先代を信用していた方がよかったのかもしれない。
「では、賭けは成立ということでよろしいかな?」
「御託はどうだっていいさ。どうせ僕が勝つ!」
「なるほどなるほど、大変いい気迫だ。では……」
「「デュエル!」」
「先攻は差し上げよう。最後のね」
「僕のターン!」
何が差し上げようだ、後攻ドローしたいだけじゃないか。まあいい、この手札なら……なるほど、このデッキのコンセプトが読めてきた。
「まずは、王立魔法図書館を守備表示で召喚する」
ズズズ、と地響きが起こり、地中から巨大な本棚が生えてくる。一見古ぼけたつくりのそれからは、魔力が内側から溢れてぼんやりと緑色の光が放たれている。
王立魔法図書館 守2000
「そして魔法カード、二重召喚を発動。このターン2回の通常召喚が行えるようになるのと同時に、魔法カードが発動されたことで図書館に魔力カウンターが1つ乗せられる」
王立魔法図書館(0)→(1)
本棚から緑色の光がより一層強く溢れ、1つの球体となって元の明るさに戻った本棚の周りをふわふわと浮遊する。まずは、ひとつっと。
「それで……魔法カード、魔力掌握を発動。このカードの効果で図書館に2つ目の魔力カウンターを乗せて、さらに魔力掌握をデッキからサーチ。そして魔法カードが発動されたことで、さらに1つ追加
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