暁 〜小説投稿サイト〜
非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第38話『イベント』
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の奥へと入っていく。それに晴登も笑顔で応えると、彼女の後へついて行った。







「何だろう、これを眺めてると懐かしい気分になる」

「時計のこと? おかしな反応だね、ハルト」


腕で抱えられる程の大きさの時計を見て、ふと思ったことを呟く。それは時計の見た目についてだ。
現実離れ・・・とまでは言わないが、日本離れしている光景が続くこの異世界の中、目の前の時計やその周りの時計を見ていると、やけに懐かしさを覚える。

止まることなく動き続ける秒針に、時々動きを見せる長針と短針。それらを眺めていると、ふと元の世界を偲ぶのだ。
1日いなかっただけで寂しく感じる。いわゆる、修学旅行中のホームシックだ。そんな経験ないけども。


「どうしたの? そんな悩むような顔して」

「うわぉ!」


急に晴登と時計の間に入り込んで、顔を覗いてくるユヅキ。その不意討ちに驚き、足がもつれて尻餅をついた。


「うわ、ごめん! 大丈夫?」

「いやいや、こっちこそ驚いてごめん。……ちょっと、故郷を思い出して」

「故郷?」


ハルトがポツリと洩らした単語にユヅキが反応する。
晴登はその反応を見ると、言っていいものかと一瞬迷ったが、続きを話した。


「別に隠すこともないから話すけど…俺は遠い所からきた人間なんだ」

「遠いって、どのくらい?」

「あーそれはわかんないけど…」


思い切ったカミングアウトをしてみるも、ユヅキの質問にあっさり撃沈。
簡単な話、この世界の知識については出発前に部長から聞いた限りであり、それ以上のものは持ち合わせていないのだ。
一頻り唸ってみて、出た答えはただ一つ。


「この世界には俺は存在しない…ってぐらい?」

「何それ、よくわかんない。現にハルトは目の前にいるのに」

「だよね…」


少し哲学っぽい答えを出すと、ユヅキは意味がわからず膨れっ面。
だが決して嘘ではない。この世界が地球の中にあるのなら話は別だが、“異世界”という名を地球人から付けられているならば、その名の通り異世界なのだろう。
ここは恐らく、地球ではない。


「ちなみにユヅキの出身はどこ?」

「え、ボク?」


自分の身の上話をしたら、相手のも聞きたくなるのが人間だ。
昨日のラグナの話だと、普通の人生を送ってはいないだろうと判断できるから、なお気になる。
・・・う〜ん、この理由だと少し不謹慎だな。


「気になるから聞かせてよ」

「そうだな〜」


自然な建前を使って探ると、ユヅキは首をかしげながら考える。どうやら話してはくれそうだ。


「…ボクも遠い所で生まれたかな。この王都から見て、だけど。でも、そこで
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