第38話『イベント』
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が立っており、またもビビる。
「うわぉユヅキ…お、おはよう…」
差し障りのない挨拶で、まずは気まずい雰囲気に入るのを阻止。
すると彼女は目を擦りながら、
「あ、うん、おはよ……ふぁぁ」
最後に可愛らしい欠伸を残して、弱々しい挨拶を返す。普段の半分も開いていない目は、まだ眠いという気持ちを隠しきれていない。
そして彼女は目一杯に伸びをした後、
「んんー!・・・おはよ、ハルト!」
「え、何で2回!?」
今度は元気に2度目の挨拶をするユヅキに、堪らずツッコみ。
ユヅキはその反応が予想通りだったらしく、ニッコリと笑った。
気にすることはない。
晴登は心の中でそう思った。
自然と表情には安堵が洩れ、彼女もまた笑顔を溢している。
心配なんて杞憂だった。
こうしてユヅキが、笑ってくれるのだから。
「あれ、ハルト。もしかして、朝ごはん作ってくれようとしてたり?」
「え、あぁ…うん」
ユヅキが状況を見て判断したのか、訝しげに訊いてきたのを、一応肯定で返す。決して悪いことではないのだから、隠す必要はないだろう。
だが、あくまで“一応”。作り出すまでは、もう少し時間を要しただろう。
ユヅキは、晴登のそんな気持ちを知ってか否か、
「じゃあ一緒に作ろ! いいよね?」
まさに妥協案といった提案が出される。
もちろん、その提案は願ったり叶ったりだ。断る理由はない。
「うん、いいよ」
晴登は快く、提案を承諾した。
*
「ハルトって、料理が上手なんだね」
「ユヅキも上手だと思うよ?」
「いやいや、ハルトの方こそ」
朝食を食べ終わり、2人で食器を洗い終わると、突然謎の褒めちぎり合いが起こる。褒められるのは慣れてないから、とても照れくさい。
「そうだ、この後はラグナさんの時計屋に?」
「まだ早いけど・・・そうだね。もう行っちゃおうか!」
「あ、いや、早いなら別に──」
遠慮しようとした瞬間、手を引かれて身体が急に前のめりになる……って、またこのパターンか。この姿勢って何かと疲れるんだよなぁ〜。
*
家を出て、道を駆け、森を抜けると、関所に着いた。
「…すっごい端折ったな!」
「何言ってんの…? それより早く早く!」
「あ、うん」
関所を抜けると、目の前に広がるのは昨日の光景。
大通りは人々でごった返し、相変わらず歩くのが困難そうだった。
「こんな朝から人がいるんだ…」
驚きの意味を込めて一言。
時計がないから正確な時間はわからないが、まだ感覚的には朝っぱらだと思う。
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