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ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第240話 味方
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する為だ。……冷えた心が、これ以上冷えてしまわない様に、……凍てつかない様に。
「……リュウキ、くん」
そっと、口に出すのは愛しい人の名。
そう、ここにきているのは玲奈である。
先ほどまで行われていた晩餐。
また、悶着があった……という訳ではない。何も無く、滞りなく、進行していた。
そう――、
何も
(
・・
)
無かったんだ。
昨日の晩餐の時、玲奈は心から母親に向かって、訴えた。汚い言葉を使ってまで、自らの想いをぶつけたつもりだった。
だけど、その言葉も――まるで永久凍土で出来ているのか? と今は疑ってしまいたくなるほどの、母親の心には届かなかった様だった。
確かに、2度、3度ほどの謝罪らしき言葉は聞けた。
だけど、その言葉に血が通っていない、そんな気配を感じる事が出来たのは、あまりにも滑らかで、言葉に躓く事もなく、自然に口から出た言葉だったから。生まれて初めての親への明確な反抗だったというのに。
これが、父親であったら取り乱すであろう事も判るのに、母親は……、そう。まるで、
『反抗期の子供への対処法』
無数にあるその対処法。育児の専門家たちに纏められ、積み上げられたマニュアル。
それを一夜にして、完全に網羅。そして実演した。
そう、思ってしまったのだ。
心のどこかで、『それは考えすぎだ』『そんな事、ないかもしれない』と頭に過ったのは事実だが、その後の姉の明日奈に対する言葉で……、完全に霧散してしまった。
それは、今使っているアミュスフィア、そしてナーヴギアについてのやり取りと今後の方針について。
今の今まで、謝罪の言葉をしていた筈なのに、舌の根も乾かぬうちに、話題が瞬時に変わって、声のトーンも変わらなかった。
玲奈の否定の気持ちが一度霧散してしまえば、もう二度と形になる事はなく、心が冷え切ってしまったのだ。
それを隣で見て、聞いていた明日奈も……きっと判っていただろう。だけど、今、母親の前で、その言葉を聞きながら、玲奈に気の利いた言葉を選んで、かける事などは、出来なかった。
それが、今の行動の理由。
今の気持ちのまま、これ以上は母親と向かい合う事が出来ない、と思った玲奈は、折角夕食を作ってくれた佐田には悪いと思いつつも、『これ以上は……』と残し、その場を後にした。
そして、明日奈も遅れて玲奈の後を追おうとしたんだけど、もう既に部屋にはおらず、掛けられたジャケットもそこには無かった。
「………」
玲奈は、この住宅街の一角にひっそりと存在する狭い児童公園の前で、足を止め、入り口に備え付けられている逆U型の金属パイプに腰を載せて、ポケットから携帯端末を引っ張り出した。
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