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ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第240話 味方
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直ぐに行くよ」
『判りました』
隼人は返事を返すと、立ち上がって向かおうとした。
そんな時、ふと……玲奈の事が頭に浮かんだ。浮かんだ彼女の顔は、笑顔……は、笑顔なんだが、やはり何処か思いつめた表情をしていたんだ。
そんな玲奈の事が頭に浮かんだから、隼人は足を止めた。
「………ん」
そして、隼人は携帯端末に目を向けた。
『あはは。リュウキ君の声、寝る前に聞けてよかったよ。これできっと良い夢、見れそうだからねー』
それは、以前……玲奈に言われた言葉。
仕事関係もあって、連絡が取れなかった事もよくあった。ALOの中に入れなかった時もあった。そして、玲奈にとっては、大切な仕事だから邪魔しちゃいけない、と電話を掛けられなかった。
隼人も、寂しさを覚えつつも、それを紛らわせるために仕事に没頭して、なるべく早くに終わらせようとしていたんだ。……電話をする、というのは完全な盲点になってしまっていた事に気付かなかったのは、しっかり者の隼人にしては、珍しく抜けていた、と言わざるを得ないだろう。自分の気持ちと玲奈の気持ちに、違いはない。と判っていた筈なのに。
「爺や。ごめん、ちょっとだけ待って。その――電話、するから」
『ほほ。了解しました。さてと、お食事を温めなおす準備をしておきます。気にせず、育んでください』
間接的に、長くなるであろう事と、『ごゆっくりどうぞ』とでも言っているかの様なセリフ。隼人は、やや顔が赤くなりそうだったけれど、咳払いを1つするだけに留めて、携帯端末に手を伸ばしたのだった。
声が聴きたい、と思い、そしてそれ以上に今は、なんだか――玲奈に電話をしなくちゃいけない。
隼人は、そんな気持ちになりながら、携帯端末のアドレス帳から、玲奈の項目を呼び出すのだった。
〜結城家〜
もうすっかり日も沈み、夜の闇と湿気を含んだ夜気が辺りを支配していた。
そんな中、1つの影が結城家のゲート脇にある通用口から出てくる。
「………」
息を殺し、そして 足跡すらも殺して、ゆっくりと通用口から家の敷地外に出る事が出来て、漸く立ち止まった。詰めていたのであろう息を吐きだし、その呼気が目の前に白く漂い、やがて消える。
身体は、急いで着こんだジャケットのおかげで、何とか寒さを凌ぐ事は出来る。……だけど、心はそうはいかなかった。
そして、結城家の外に均等な間隔で備え付けられている街灯のLEDの淡い光が、その人物を照らし――、鮮やかな栗色の髪が照らされた。首元につけていたマフラーをぐいっ、と上に持ち上げ、口元を隠す様に付け直す。
辛うじて、冷たい夜気が直接身体の中に入ってくるのを阻止
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