【ネジおじさんに向日葵の花を】
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もので……」
「その前の頃は、半そで短パン姿だったでしょ? 頭の両脇から何だかピロピロしたのしてて」
「あぁ、まあ確かにそうだが、会った事はないのに写真で俺の事を知っていて、君は俺を"おじさん"と言う……。その上君の母親と同じ眼をしているという事は、その人は────」
「ヒマワリちゃん、ネジ兄さん...!」
ヒナタがネジの家に上がり込み、茶の間へやってくる。
「ヒナタ...お母、さん?」
ネジはつい、座ったままの姿勢でヒナタを怪訝そうな表情で見上げ、つぶやくように言った。
「はい?? えっ、ちょっ……ネジ兄さんまで私の事、お母さんだなんて...!?」
「───あッ、いや、何でもないです。気にしないで下さい...! ひ、向日葵の花は、どうでしたか?」
焦りつつも、平静を装うネジ。
「あ、うん、えっと……やっぱり、向日葵の花はもう無いらしくて...。ごめんね、ヒマワリちゃん」
「…いいの、お店のじゃなくて……今年わたしの家のお庭に咲いた向日葵の花を、おじさんにあげたいから。お母さんと一緒に...、ちゃんとお世話して育てた向日葵」
どこかぼんやりした様子で、ヒマワリはそう答えた。
「じゃあやっぱり、ヒマワリちゃんのお家に送ってあげないと───」
「この子の家は、こちらにはまだ存在していないのかも知れません。探した所で、見つからないと思います」
「え……?」
ヒナタには、ネジの言っている意味がよく分からなかった。
...ふと立ち上がったネジは、近くの棚から何かを取り出し、ヒマワリの前で片膝をつき片手をスッと優しくとり、その手の平に幾つかの種を持たせた。
「この向日葵の種は……今年取れたものなんだ。君の居るべき場所に帰って植えれば...、まだ花開くのに間に合うかもしれない」
「そう、なの...? ありがとう、おじさん」
受け取ったヒマワリは、大切にポケットにしまった。
「ネジ兄さん、その種って……二ヶ月くらい前に行った、向日葵畑から取れたもの?」
「えぇ...、そうです」
ヒナタの問いに、ネジが答えた。
「───ヒマワリ、自分の本当の居場所に帰った方がいい。もうここに居てはいけないよ」
ネジはヒマワリに優しく諭すように言った。
「おじさんは……わたしと一緒に、帰ってくれないの?」
「俺は...、まだそちらには行けない。というより……行く事が出来ないのかもしれないな。だから君は毎年、直接ではないにしろ俺に向日葵の花をあげてくれているんだろう?」
「おじさんが...本当に居てくれたら、一緒に向日葵の花、育てられるよ。直接、おじさんにあげられるよ。だから……一緒に帰ろ、ネジおじさん
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